ものづくりの色と時間 「suzusan」は銀座の新名所で何を見せるのか

suzusan CEO兼クリエイティブディレクターの村瀬弘行と和光代表取締役社長の庭崎紀代子

suzusan CEO兼クリエイティブディレクターの村瀬弘行と和光代表取締役社長の庭崎紀代子

銀座のシンボル、和光本店の地階 アーツアンドカルチャーで、400年以上前から受け継がれる有松鳴海絞りをルーツとするブランド「suzusan(スズサン)」がポップアップイベント「suzusan – Colors in mind」を開催している。会期は12月10日まで。

advertisement

アーツアンドカルチャーは、杉本博司と榊田倫之が主宰する新素材研究所が空間デザインを手がけ、昨夏、人と文化が交流する場に刷新されたフロア。イベントごとに違う表情を見せるが、今回は多彩なカシミヤニットやストール、ブランケットやラグなどのアイテムが並び鮮やかな印象に。デッサンやドローイング、絞りに使われる道具なども散りばめられ、ものづくりの手触りと楽しげな雰囲気が漂っている。

「このイベントを心待ちにし、全力で準備した」というsuzusan CEO兼クリエイティブディレクターの村瀬弘行と、アーツアンドカルチャーという場を生んだ和光代表取締役社長の庭崎紀代子。直近ではパリでも対話を重ねたという二人に、日本のものづくり、美意識、経営について話を聞いた(3記事公開予定)。


──今回のイベントにおいて、村瀬さんはどのような思いを込めて企画し、形にしていったのでしょうか?

advertisement

村瀬:和光でsuzusanをお取り扱いいただいてから数年が経ち、何度か催事もさせていただいていますが、アーツアンドカルチャーでイベントを開催するのは今回が初めてです。

この場所について、準備段階から話を聞いていましたが、一貫して、日本の美意識、手仕事やストーリーを大切にする和光さんの強い想いを感じていました。完成し、念願叶って僕たちもイベントを開催するからには、ただアイテムを並べるだけではなく、suzusanの全てを伝える場所にしたいと考えました。

イベントのタイトルを「suzusan – Colors in mind」にしたのは、染め物ブランドである僕たちの原点である「色」を直球で表現したいという思いからです。僕が新しいコレクションについて考える時は、まず「色」に思いを巡らせます。今社会で起こっていること、昨日食べたもの、美術館で見た作品など、日々の生活で目にする色について考え、何度も試し染を繰り返しながら形にしていきます。

また今回裏テーマとして、僕が暮らすドイツのデュッセルドルフとsuzusanの本社がある名古屋市の有松、そして銀座をつなぎたいと思いました。両地域の文化を銀座に持ち込み、どのようにこの地に馴染んでいくかを見てみたいなと。

そのインスピレーションは、デュッセルドルフ出身の現代アーティスト、ヨーゼフ・ボイスの作品《I Like America and America Likes Me》です。彼は1974年に初めてアメリカに行った際、ニューヨークのギャラリーで数日間コヨーテと過ごすというパフォーマンスを行ったのですが、僕自身が毎日和光に立ち、場や人に関わることで、接客を超えたパフォーマンスにできるのではないかとイメージしています。

会場には、製品になる前のドローイングや道具を持ち込み、絞り染めの工程のひとつである「絵擦り」のインスタレーション、実演なども行って、アイテムが完成するまでのプロセスも一緒に楽しんでいただける内容に。今年立ち上げた和装ブランド「鈴三」の浴衣もお披露目します。

次ページ > “メイド・イン・ジャパン”のイメージが変化

文=守屋美佳 撮影=若原瑞昌 編集=鈴木奈央

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事