教育

2025.12.01 17:30

バイトダンス共同創業者が率いる教育テック企業PalFish、アジアに続き中東に進出へ

Shutterstock.com

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中国のエドテック(教育テクノロジー)系企業PalFish(パルフィッシュ)は2015年の創業時、「小さな魚が広大な知の海を自由に泳ぐ」というイメージを示すために現在の社名を選んだ。同社は、最新テクノロジーを用いたインタラクティブなオンライン読書・語学サービスを世界7000万人のユーザーに提供する企業へと成長した。

PalFishの国際事業を統括するシャオ・リー副社長は先日のフォーブス・チャイナのインタビューで、「人工知能(AI)が教育にもたらす変化は、かつての印刷技術に匹敵する。AIは、希少な教師資源への依存を断ち切り、質が高くスケール可能な“AI教師”を提供することで教育を再編している」と語った。彼によると、このようなスケール効果はすでに、教育産業のコスト構造そのものを変えつつあり、「この分野の競争は、資本の規模ではなく技術の理解度や応用スピード、プロダクトの改良能力へと移っている」と指摘する。

バイトダンスの共同創業者ヘンリー・ファンが率いるPalFish

PalFishの創業者兼CEOのヘンリー・ファンは、バイトダンスの共同創業者としても知られている。彼は、2025年のPalFishの創業10周年イベントで事業の拡大スピードの重要性を改めて強調した。「5周年のとき、私たちは“進化し続ける”というスローガンを掲げた。今はそれを“進化のスピードこそが全てだ”という内容に変え、より高い基準を自らに課している」とファンは語った。

売上高は約156億円を超え、中東市場での事業拡大を目指す

リーによると、北京に本社を置く非上場企業であるPalFishの2024年の売上高は1億ドル(約156億円)を超え、2025年はさらに倍増する見通しだ。この背景には、同社のプロダクトが3〜12歳の子どもたちの間で急速に支持を広げていることが挙げられる。また、東南アジアを中心とする国際事業の売上は全体の約20%を占めており、2025年は150%の成長が見込まれている。リーは、成長著しい中東市場で、今後3年間にPalFishの事業連携を大きく拡大する計画だ。

2025年末までに拠点を増やし、著名投資家からの資金調達も成功

PalFishの東南アジアでの急成長は、貿易拡大などのマクロ環境にも後押しされている。2023年にバンコクに初の拠点を開設して以降、同社はPalFishセンターと呼ばれる海外拠点を合計14カ所に広げてきた。内訳は、タイ国内で10カ所、ベトナムではホーチミン市、ハノイ、ダナンに4カ所だ。リーによれば、PalFishは2025年末までに、東南アジアでさらに最大5カ所のセンターを開設する計画を立てている。また2025年は、バンコクでスピーチコンテスト、ハノイでエドテック・フォーラムを主催するなど現地活動も広げた。急成長を続けるPalFishはこれまで、GGVキャピタルやベルテルスマン・アジア投資ファンドなどの著名投資家から資金を調達してきた。

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翻訳=上田裕資

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