経済・社会

2025.11.28 12:45

HUMAN MADEが東証グロースに上場 日本発カルチャーコングロマリットを目指す

HUMAN MADEの経営陣(前列中央が代表取締役CEO兼COO松沼礼)

日本発「カルチャーコングロマリット」へ

広告宣伝費をかけない独自のプロモーション戦略も展開し、著名なアーティストや企業とのコラボレーションによって、ブランド価値を上昇させて世界的な認知度を獲得してきた。松沼は「このような戦略をとれるブランドは、世界を見ても稀有だと思っている」と誇る。今後については、「中長期的にはHUMAN MADEブランドを世界に誇れる日本発のグローバルブランドにしていきたい。そのために、国内では旗艦店の出店などをベースにした高効率事業モデルを盤石なものにし、今後2年以内に海外現地法人を立ち上げ、本格的な海外展開にも着手する」と口にした。

advertisement

現在の海外売上比率は64%で、購買層は東アジアを中心とした20代と30代の男女が中心。海外展開について、「現地法人の立ち上げは、東アジアでは中国や香港、韓国、台湾、東南アジアといった優先的に進めていく国や地域がある。アメリカもニューヨークを中心にファッションやカルチャーの情報発信地としてキーになる街があるため、優先順位を決めていく」とした。

今回の上場で調達した資金について、取締役CFOの柳澤純一は「基本的には国内の旗艦店出店や海外現地法人の立ち上げに充てる」と言及。また、主軸のHUMAN MADEブランドに続く事業の柱を育てるために、海外ブランドの買収などへの活用も想定しているという。松沼は「HUMAN MADEで実現してきたことは、他ブランドにも転用できるのではないか。世界中で認知されているものの、ビジネスの規模が認知度に追いついていないブランドもある。私たちはそういったブランドなどを世界で長く愛されるようにしていくという使命をもっているため、必要であればM&Aも検討していく」と、今後の可能性に触れた。

上場を果たし、「投資家や市場から評価と期待をいただいたと受け止めている。その期待を裏切らないと言うよりも、むしろ期待を超えられるような事業の展開や経営が求められると思っている」と松沼。「NIGOというクリエイターだけに依存し続けてビジネスをしていくわけにもいかない。思想を受け継ぎながらも依存しないような商品開発や体制を整えていく必要がある」と語る。

advertisement

目指す企業像について、“カルチャーコングロマリット”と表現し、クラフトマンシップと安定した経営基盤の両立によって、さらなるブランドのポートフォリオ構築を目指していくと宣言した。

文=小谷紘友 編集、写真=松崎美和子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事