欧州

2025.11.28 09:30

ウクライナとのエネルギー戦争で露呈するロシアの脆弱性

ロシア軍による電力施設への攻撃で大規模な停電に見舞われたウクライナの首都キーウ。2025年10月10日撮影(Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

降伏は和平ではない

米国のマルコ・ルビオ国務長官は、譲歩の必要性を認めている。1月、米CBSニュースに対しトランプ大統領の提案について語った際、ルビオ国務長官は次のように述べた。「双方が譲歩する必要がある。双方が譲歩しなければ和平合意は成立しない。これが現実だ。そうでなければ、それは単なる降伏だ」

advertisement

かつてウクライナの大統領報道官を務めたユリヤ・メンデリは筆者の取材に応じ、「私は徴兵制には賛成しないが、平和の推進には賛成だ」と語った。「ウクライナで日々死んでいく人々について、誰が思いを巡らせるのだろうか? 大量殺人をやめさせることが重要だと考えている」

現実主義が最も重要であることは言うまでもない。ウクライナでもロシアでも何十万人もの兵士が命を落としており、人命が最優先だ。この点で、ロシアの交渉力は既に制約を受けている。

エコノミストは、「もし(トランプ大統領が)ウクライナに対する自身の計画を押し通すのであれば、NATO加盟国は弱体化し、ロシアは強大になるだろう」と警告する。

advertisement

だが、エネルギー分野では、ロシアは無敵でもなければ、いつまでも圧力に耐えられるわけでもない。ロシアの石油精製施設を標的としたウクライナ軍の無人機攻撃に加え、欧州のエネルギー源の多様化もあり、ロシアが全ての主導権を握っているわけではない。こうした現実を無視した交渉は、ロシアに過剰に譲歩し、侵略を助長するとともに抑止力を損なう危険性がある。

その影響はウクライナを超えて広がっている。NATOの結束や欧州のエネルギー安全保障、国際市場は、戦争、外交、エネルギーの相互作用によって影響を受ける。ロシアの軍事力を誤って判断することは、戦略的な誤算を招き、将来の紛争の舞台を整える可能性がある。エネルギーは周辺的な存在ではなく、中核にある。

提案された28項目の和平案は、ロシアとウクライナ双方の真の戦略的立場を誤って読み取っている。征服に報奨を与え、集団防衛を弱体化させ、エネルギー戦争を無視することで、私たちはロシアの要求に屈服し、同国の軍事的利益を認めることになる。現在繰り広げられているエネルギー戦争は、ロシアが無敵ではないことを示している。実際、西側は依然として結果を形作るための手段を保持している。この現実を考慮に入れない合意では平和を構築することはできず、次の対立でさらに大きな代償を払うことになるだろう。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事