欧州

2025.11.28 08:30

ロシアが滑空爆弾を量産、長射程型も投入 ウクライナの戦場と都市で脅威増大

ウクライナ北東部ハルキウ市にある市立病院の敷地内で2025年10月13日、ロシア軍の滑空爆弾による攻撃で発生した火災の消火活動にあたる救助隊員(Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

ウクライナ陸軍第92独立強襲旅団の迫撃砲中隊長であるアナトリー・トカチェンコは筆者の取材に対し、滑空爆弾は「畑や平原に落下するだけの場合も多い」と話し、30〜35人ぐらいの工兵がそれを分解してTNT(爆薬)や弾薬として再利用していると明かした。

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ウクライナの防衛メディアであるミリタルニーによると、ロシアが導入している新型の長射程航空兵器は2種類ある。上に述べた、ジェットエンジンを搭載したUMPB-5R滑空爆弾と、空力性能を向上させた改良型UMPK誘導キットだ。どちらもウクライナ軍の防空システムの射程外から目標を攻撃できるように設計されていて、ロシア軍機はこれまでよりさらに安全な距離から発射できる。

ミリタルニーは、回収された残骸から、UMPB-5Rは中国製のSW800Pro-Yターボジェットエンジンを搭載していることが判明したと伝えている。このエンジンはドローン(無人機)や大型の模型航空機でよく採用されているものだ。ロシア軍は滑空爆弾の射程延伸によって、より高価なミサイルの在庫を温存しながら、引き続きウクライナの都市を攻撃できるとみられる。

第27旅団のツァレノクは、ロシア軍によるこうした技術改良は前線にますます危険な現実をもたらしつつあると危惧している。「新たなエンジンやそれによる射程延伸は、残念ながら(ロシア側で滑空爆弾の)量産と性能向上が着々と進んでいることを示しています」

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戦場へのインパクト

米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は、ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州ポクロウシク方面で、ウクライナ軍の弾薬庫や要塞化された防御構造物に対する戦術作戦を、滑空爆弾とシャヘド型ドローンによる攻撃で強化したと報告している

ISWによると、滑空爆弾やシャヘドによる攻撃では戦術ドローンよりも大きな弾頭を運べるため、ロシア軍はより堅固な構造物を損壊または破壊することが可能になる。ロシア軍はポクロウシクと近隣のミルノフラドで高層建築物を狙った滑空爆弾による攻撃を強めてきている。これもおそらく、ウクライナ側の要塞陣地を破壊する作戦の一環だろう。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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