経済

2025.11.27 16:00

AIバブルの懸念広がるも、マイクロソフトの株が深刻な影響を受けない理由

Shutterstock.com

堅固な財務と多様なビジネスモデル

同社の幅広い財務力とビジネス構造は、市場変動に対する重要な緩衝材となる。

advertisement
  • 財務力: 2025年、マイクロソフトの売上高は2817億ドル(約15%増)に到達。純利益は1010億ドルを超え、4兆ドルの時価総額(エヌビディアに次いで2位)を支えている。
  • 多様化による回復力: 純粋なAI銘柄とは異なり、マイクロソフトの安定性はエンタープライズソフトウェア、生産性向上製品、一般的なクラウドサービスなどの成熟した多様なビジネスに根ざしており、新興AIマーケットのボラティリティに関連するリスク軽減に役立っている。

景気後退時の歴史的回復力

マイクロソフトの株式は歴史的に強い回復力を示しており、一部の大きな景気後退では、初期の下落局面でベンチマークのS&P 500指数を上回るパフォーマンスを示した。

  • インフレショック(2022年): 同社の株価はS&P 500の25.4%下落と比較して、より大きな37.6%の下落を経験した。しかし、堅調な上昇モメンタムを示し、2023年6月までに完全に回復。その後も大幅に上昇を続け、継続的な投資家の信頼と成長の可能性を示した。
  • COVID-19パンデミック(2020年): 初期の市場暴落時、同社の株価は28.2%下落したが、これはS&P 500の最高値から最安値まで33.9%の下落と比較して軽微なものだった。株価は危機前のピークに完全に戻るまで、わずか3か月(2020年6月まで)しかかからなかった。
  • 世界金融危機(2008年): 同社の株価は59.1%という大幅な下落に直面したものの、S&P 500の下落(56.8%)と同程度であり、最終的には危機前のピークまで回復。長期的な安定性を示した。

機関投資家の前向きな見方

最近の市場変動と一部の格下げにもかかわらず、機関投資家の見方は楽観的なままだ。アナリストのコンセンサスレーティングは「強い買い」の評価を維持しており、27%の上昇を見込む目標価格を設定している。マイクロソフトは2025年を通じて、AI関連の成長から成功裏に恩恵を受けている数少ない巨大時価総額企業の一つとして認識されている。

結論

マイクロソフトは、AIバブルの犠牲者なのだろうか。証拠は逆を示している。広範なAIへの熱狂が株価評価への懸念を引き起こしている一方で、マイクロソフトのAI戦略は明らかに強力なクラウド収益の成長、収益性の向上、規律ある資本配分に結びついている。多様化したテック大手としての地位を生かし、投機だけに頼るのではなく、AIを成長の原動力として活用している。そんな同社はAIの波を乗り切り、その恩恵を受けるための持続可能なアプローチの説得力ある例となっている。

advertisement

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事