サイエンス

2025.11.28 18:00

見ているだけで寒くなる、銀世界に生きる野生動物たちの姿

ジャコウウシの力試し((c) Daniel Valverde Fernández of Madrid. Spain. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)

3. 若いホッキョクグマとセイウチ(ノルウェー、スヴァールバル諸島)

若いホッキョクグマとセイウチ((c) Florian Ledoux of Kvaløya, Norway. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)
若いホッキョクグマとセイウチ((c) Florian Ledoux of Kvaløya, Norway. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)

この写真には、金色に輝く北極の太陽を背にして、流氷の上を歩く1頭の若いホッキョクグマと、凍てつく海を泳ぐ1頭のセイウチが捉えられている。穏やかであると同時に、緊張感に満ちた光景だ。静謐な光が、弱肉強食の現実を包み込む。

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若いホッキョクグマは、誕生から間もないうちから、多くの物事を学ばなければならない。ハンターとしての経験が足りないうちは、しばしば大きく危険な獲物に不用意に近づくという間違いを犯す。セイウチはまさにそんな獲物の一つで、長い牙と巨体はホッキョクグマにさえ大きなリスクとなる。成獣のホッキョクグマはセイウチを捕食することもあるが、必要な狩りの技術を身につけていない若い個体は、負傷することや餓死することも珍しくない。

一方のセイウチ(学名:Odobenus rosmarus)は、北極圏の海底環境をつくる生態系エンジニアだ。学術書『Encyclopedia of Marine Mammals』の記述によれば、セイウチは強力な牙と丈夫なひげで底生無脊椎動物を探し、掘り返して食べる。彼らのこうした行動が、海底の生態系の形成に寄与している。

この写真に見られるように、セイウチは脅威にさらされると水中へと退避することが多い。捕食者が近くにいる不安定な氷上よりも、水中の方が安全だからだ。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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