サイエンス

2025.11.28 18:00

見ているだけで寒くなる、銀世界に生きる野生動物たちの姿

ジャコウウシの力試し((c) Daniel Valverde Fernández of Madrid. Spain. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)

2. コウテイペンギン(南極、クイーン・モード・ランド:ノルウェーが領有を主張)

水中から飛び出し、氷の上をおなかで滑るコウテイペンギン((c) Stefan Christmann of Boehmenkirch, Baden-Wuerttemberg, Germany. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)
水中から飛び出し、氷の上をおなかで滑るコウテイペンギン((c) Stefan Christmann of Boehmenkirch, Baden-Wuerttemberg, Germany. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)

この写真では、躍動するコウテイペンギン(学名:Aptenodytes forsteri)たちを見ることができる。1羽はロケットのように水中から飛び出しており、2羽は氷の上をおなかで滑っている(おなかで滑るこのかわいらしい行動は、カナダ原住民の小型そりを指す言葉「トボガン」にちなんで「トボガニング」と呼ばれる)。遠景には、巨大な氷の崖のそばにコロニーが集まっているのが見える。

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コウテイペンギンは、極限環境で生き抜く能力にかけては脊椎動物界のチャンピオンだ。彼らは水深500mまで潜り、20分以上にわたって水中で呼吸を止めていられる。興味深いことに、彼らの骨は中空ではなく密にできていて、浮力を抑制し、深い潜水を可能にしている。

陸上での特徴的なよちよち歩きは、エネルギーの損失を最小限に抑える適応だ。南極のエネルギー収支は厳しく、カロリーの浪費は許されない。このことが、ひときわ顕著になるのが繁殖期だ。オスは最長で120日間にわたって絶食し、冬の暗闇のなかで卵を温め続ける。

学術誌『PLOS ONE』に掲載された論文によれば、身を寄せ合うペンギンの群れは、流体のような挙動を示す。各個体は30~60秒ごとに、協調のとれた動きで場所を移動し、周縁部の凍える寒さや中心部のオーバーヒートを回避している。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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