リーダーシップ

2025.12.19 10:15

アパレル最年少上場社長が「昭和の価値観、令和の売り方」を掲げるワケ

2023年12月に当時30歳で東京証券取引所グロース市場へ上場し、「アパレル企業史上最年少上場」と話題になったyutoriの片石貴展社長。片石さんがどのようにスランプを乗り越えてきたのか、著書『若者帝国 好きな人たちと、好きなことに熱狂して働く』(KADOKAWA)より、一部抜粋してお届けする。


yutoriではみんなが自分をさらけ出し、本当にのびのびと仕事と向き合っている。ワンフロアのオフィスはいつも若者たちがざわざわしていてうるさい……いや、活気がある。シーンとしたオフィスで、ただ仕事が終わればいいと黙々と働く感じとは真逆の空間だ。

昭和の営業職のように、職場に成績を張り出すような下品なことはしないけれど、評価は数字で明確になされるのでまったく言い訳が利かない。そのため、yutoriの若者たちには常に「やるぞ」という気迫と緊張感があり、みんな仲はいいけれど、同時に競争意識もかなり高い。

だから、yutoriにはちょっと昭和っぽい雰囲気があると思う。この昭和と令和のハイブリッドであるyutoriの空気感を、僕は本当に自慢できる“作品”だと思っている。

加えて社長は、社員みんなのことを「考察」することが好きだときている。

みんなに対するフィードバックも、僕の圧が強いので𠮟っているように見えがちだけど、僕としては、当人が自分を正しく認識できるように、客観的な考察の材料を与えているイメージだ。もちろん、社長に厳しく指摘されると、動揺したり落ち込んだりするのが普通だし、別にそれが悪いとはまったく思わない。

「古きよき高度経済成長期を、令和でリバイバルする」

さらにいうと、僕は、「最終的に俺がケツ持つよ」という明確な責任感をみんなに示しているつもりだ。

昭和のギラギラした豪快な社長と見た目は相当違うにせよ、個人的には、令和の繊細な捉え方と、昭和の社長っぽい責任感のハイブリッドを目指したい。ちなみに、僕が案外、昭和を生きた人たちに好かれるのには、僕のなかにどこか昭和のとっぽさや、突っ張っている部分があるからかもしれない。

まとめると、僕のテーマは「昭和の古きよき高度経済成長期を、令和で繊細にリバイバルする」という感じだ。

平成に生まれて平成に育ったが、平成の価値観はあまり好きじゃない。経済的に見れば、平成は明確にコケた時代であり、特に平成の後期に是とされた、質量を伴っていない能天気な考え方は嫌いだ。

十把一絡げにするつもりはないけれど、世間的にはいいことばかりいいながら、内実は自分にしか興味がないという、責任感が弱い経営者も多いのが実情だ。僕はそんな人たちを結構いじるので、向こうがビビって避けていくこともあり、「なんだかな」と思っている。

それに比べて、昭和の叩き上げの人たちは、僕がどれだけ失礼なことをいっても怒らないし、そもそも器や胆力が違うようだ。

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文=片石貴展/yutori社長

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