自分の「好き」に夢中になり、自分がつくりたいものをつくり始めると、やがて「人にいいと思ってもらうもの」をつくるように変化していく瞬間がやって来る。それもまた、自分で自分の才能を信じる根拠になっていく。
最初は自分が「これがかっこいい!」「これが素敵!」と思うものから始まるのだけど、その情熱だけでうまくいくことは、芸術の世界ならともかく、少なくともビジネスの場合はレアケースといえる。そうではなく、やはり人とのコミュニケーションのなかで、どのように自分のエッセンスを出しながら、人が「面白い」「いいな」と感じられるものをつくっていくか。そんな視点がとても重要になる。
端的にいうと、「オリジナリティがありながらも売れる商品」をどのようにつくるのかに焦点をあてることがとても大事だということだ。
そして、そのためには、やはり「自尊心」がないと難しいという結論に戻っていく。
「自分の根っこの部分は絶対になくならない」
自分以外のものに合わせたり、自分が苦手なことに向き合ったりするうちに、「自分が自分でなくなっていくような不安」を感じるかもしれないが、その程度でなくなる個性なら、そもそもそれは個性ともいえないものだと僕は思っている。
社会人1年目の僕にもそんな時期があったからよくわかるけれど、いまは「なにかを取り入れたとしても自分の根っこの部分は絶対になくならない」と言い切れる自分がいる。
むしろ、変化することを怖がって変わらないでいるほうが、自分を望まない方向へと変えていってしまう面がある。
逆説的だけど、変わらないために変わり続けることが大事なのだ。
自分が好きなものをつくろうとしたとき、それを届ける先には「誰か」がいるわけで、その誰かをリスペクトできなければ、いいクリエーションは生まれない。
誰かをリスペクトできないのは、要はまだ子どもだということだ。
子どもは、ときに純真無垢に人の胸を打つものをつくる。また、芸術であれば、人生のある瞬間のきらめきを捉えてつくった作品が残り、それだけで一生生きていけるようなこともあるかもしれない。
でも、ビジネスで重要なのはあくまで「継続性」だ。アパレルの場合は月に何十商品もリリースするし、読者のみなさんもそれぞれ商品やサービスをいくつもアウトプットしていると思う。それには、常に受け手のことを考えて、自分を変え続けなければならない。
しかし、それでもあなたの真の個性は揺らがない。
その確信こそが「自尊心」であり、それが結果に対してコミットする意識を生む。
そうして、人や組織を思ってもみなかった場所へと連れて行くのだ。
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