北米

2025.11.27 11:00

米国立公園の外国人向け入場料、大幅値上げへ 知っておくべきこと

米西部アリゾナ州のグランドキャニオン国立公園(Getty Images)

米西部アリゾナ州のグランドキャニオン国立公園(Getty Images)

米内務省は25日、外国人観光客が国立公園に入場する際の料金を2026年1月1日から値上げすると発表した。政府はこの措置を「米国第一主義」の施策と位置付け、米国民は「引き続き手頃な価格で利用できる」としている。

内務省によると、外国人向けの国立公園の年間パスは250ドル(約3万9000円)に引き上げられる。一方、米国居住者の価格は80ドル(約1万3000円)のまま据え置かれる。年間パスを持たない外国人観光客は、全米で最も訪問者の多い11の国立公園に入場する際、従来の入場料に加え、1人当たり100ドル(約1万6000円)の追加料金が課される。追加料金の対象となる国立公園には、西部アリゾナ州のグランドキャニオン国立公園や西部ワイオミング州などにまたがるイエローストン国立公園、南部フロリダ州のエバーグレーズ国立公園、西部カリフォルニア州のヨセミテ国立公園などが含まれる。

さらに、無料開放日は米国民と永住者にのみ適用される。内務省の声明には「居住者限定愛国無料開放日」として、独立記念日や戦没者追悼記念日、ドナルド・トランプ大統領の誕生日など、10日が列挙されている。

同省は、「非居住者は米国の国立公園の維持管理を支援するため、追加料金を支払うことになる」と強調。追加料金から生じる収入は、施設の改修や維持管理、サービス向上など、米国の国立公園に直接再投資されると説明した。ダグ・バーガム内務長官は、「これにより、既に国立公園を支援している米国の納税者は引き続き手頃な料金で利用できる一方、外国からの訪問者は将来の世代のために国立公園の維持と改善の責任を公平に担うことになる」と述べた。

年間パスは1年間有効で、国立公園を含む全米2000カ所の国立保護区域に何度でも入場することができる。例えば、ヨセミテ国立公園とイエローストン国立公園では入場料が1人当たり20ドル(約3000円)だが、来年からは外国人観光客の入園料が120ドル(約1万9000円)に引き上げられる。ただし、年間パスを購入すれば入場料は免除される。

トランプ政権による移民政策の強化や国際情勢の変化などにより、米国への渡航に影響が出ている。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、米国が今年、125億ドル(約2兆円)の観光収入を失うと試算している。他方で、米国立公園局では人員削減が進んでいる。米国立公園保護協会(NPCA)の推計によると、今年だけで国立公園局の常勤職員4000人以上が職を失った。国立公園局によると、昨年、米国の国立公園を訪れた人は前年比2%増の3億3190万人に上り、過去最高を記録した。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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