だが、この戦略の維持は次第に困難になりつつある。新兵の入隊奨励金は現在200万ルーブル(約400万円)前後に達しており、地方財政を圧迫している。10月以降、20以上のロシアの地方自治体が赤字に転落した。財政圧力が高まる中、支払いの削減に乗り出した自治体もある。サマラやタタールスタンといった比較的裕福な地域では、兵士の入隊奨励金をそれぞれ360万ルーブル(約720万円)と270万ルーブル(約540万円)から国内最低額の40万ルーブル(約80万円)に引き下げた。バシコルトスタンやマリーエルといった経済的に恵まれない地域もこれに追随し、支給額をそれぞれ160万ルーブル(約320万円)から60万ルーブル(約120万円)に、260万ルーブル(約520万円)から40万ルーブルに引き下げた。
試されるロシアの持久力
ルビオ米国務長官がウクライナ当局者らとの会談に持ち込んだロシアとの和平案の当初の条件には、こうした計算がまったく考慮されていなかった。ロシアの軍事機構は、国と地方の両方で勢いを失っている。制裁がロシアのエネルギー業界を直撃し、政府の軍事作戦の資金源である石油収入を枯渇させようとしている。同時に、地方予算は、兵士の採用を維持するために必要な入隊奨励金の急騰に追いつけなくなっている。
米国のウィトコフ中東担当特使とプーチン大統領の特使キリル・ドミトリエフが起草したとされる当初の28項目の和平案は、ウクライナ側には時間が残されていないという前提に基づいていた。この案には、ウクライナの主権を侵害する措置が含まれていた。ロシアがまだ占領していない領土をウクライナに割譲させるとともに、ウクライナ軍を現在の規模から約20万人削減して60万人を上限とし、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を永久に放棄させる内容だった。これは実質的に、ロシアが軍を再編成し、戦争資金の再調達を終えた後、ウクライナを同国の侵略に再びさらすことになるだろう。
ロシアに対する制裁は成果を上げつつあるが、米国が圧力を維持し続ける場合にのみ効果を発揮する。たとえウクライナ軍が崩壊寸前だったと仮定しても(実際はそうではないが)、ロシアは依然として戦場での勝利と国内での敗北との間で闘わなければならないだろう。ロシアのエネルギー業界が圧迫され、資金不足が深刻化している状況は、同国の将来に暗い影を落としている。


