ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の楽観的な見通しとは裏腹に、同国のエネルギー業界は厳しい圧力に直面している。ロシアの化石燃料による総収入は9月までに前年比4%減の1日当たり約6億2900万ドル(約980億円)となり、ウクライナ侵攻開始以来の最低水準を記録した。特に、石油・天然ガス収入は同26%急落した。海上輸送原油だけが例外で、収入は同1%、数量は同3%増加した。ところが、10月はそのかすかな安堵(あんど)さえも消し去った。総収入は再び減少して1日当たり約6億300万ドル(約940億円)となり、海上輸送原油は1日当たり約2億600万ドル(約320億円)で停滞した。月末の最終週には、ロスネフチやルクオイルからの供給は記録されなかった。
ロシアの原油輸出市場の柱である中国とインドが、米国の二次制裁の主な標的となっている。10月だけで、中国はロシア産原油に推定42億ドル(約6600億円)を支払い、インドは約29億ドル(約4500億円)を輸入した。だが、状況は変わりつつある。10月最終週には、中国の国営石油大手である中国石油化工(シノペック)、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)、中国中化集団(シノケム)、振華石油がスポット貨物の注文を取り消し、新規購入を凍結した。他方で、ロシアから中国北部へのパイプラインによる石油供給は途切れることなく続いている。インドも同様で、同国の大手石油精製会社であるリライアンス・インダストリーズ、バーラト・ペトロリアム、ヒンドゥスタン・ペトロリアム、マンガロール石油精製化学、HPCLミッタル・エナジーは既にロスネフチとルクオイルからの直接購入を停止した。
動員費用の高騰で拡大するロシアの財政赤字
ウクライナ侵攻に参加する志願兵を安定的に確保するため、ロシア政府は資金の流れも維持しなければならない。大金の投入がロシアの戦争モデルの中核にある。ロシアでは月間約2万9000人の新兵が採用され、第3四半期だけで13万5000人以上の国民が国防省と契約を結び、年間の採用数は26万3000人近くに達している。
この数字は過去数年間変わらず、ロシアが消耗戦を継続し、人的資源を消耗品として扱っていることを示している。軍の戦術は第二次世界大戦時と変わらない。兵士を際限なく前進させ、わずかな前進と引き換えに甚大な犠牲を払い、兵士の遺族には補償金を支払うのだ。この戦略を維持できるかどうかは、いかに高額な報酬で継続的に志願兵を引き寄せられるかに懸かっている。


