Netflixが本気の“対YouTube戦”に動く 26年に期待のビデオポッドキャスト市場とは

2026年、Netflixによる参入により、動画版ポッドキャスト(ビデオ・ポッドキャスト)が世界的に広がると期待されている。ポッドキャストは、Apple PodcastやSpotify、YouTubeなどで誰でも音声番組を配信できる仕組みで、その映像付きバージョンがビデオ・ポッドキャストだ。

2024年には12歳以上の米国人口の34%(約1億人)が週1回以上ポッドキャストを聴いており(Infiniti Dial社調べ)、さらに人口の47%(約1億3500万人)が月1回以上利用している(Edison社調べ)という。広告市場も大きく、PwCらの推計では現在24億ドル規模だ。今、この波に乗ろうと動いているのが、Netflixだ。

コロナ禍がポッドキャスト市場を一気に後押し

なぜポッドキャスト市場が急伸しているのか。これにはコロナ禍の影響が大きい。ライブ公演や映画館に足を運べない視聴者が、ポッドキャスト市場に流れた。音声ポッドキャストに映像を付加して配給することによる事業性が証明されて以降、これまで「ラジオ番組のネット版」と認識されていたポッドキャストが、テレビ番組化して市場の拡大を牽引したのである。

映画やテレビ番組に期待される高度な編集や複雑な構成がなくても、出演者が話す様子を撮影する簡易的な動画でも十分にエンタテイメントとして受け入れられることが証明され、コンテンツとしての競争力があることがスポンサーや代理店に認識された。さらに、ここ数年で著名人やスポーツ選手たちがYouTubeに一気に参入したこともあり、新たなビデオ・ストリーミング産業が誕生したのである。

“対YouTube戦”に動く

ビデオ・ポッドキャストの主戦場は長らくYouTubeだったが、Netflixは2025年19月以降、本格的にコンテンツの獲得に動き始めている。

まず、芸能人のマネージメント・エージェンシーである大手3社、ウイリアム・モーリス、CAA、UTAに対して、ビデオ・ポッドキャスト番組の出演に関心のあるタレント紹介を依頼し、米国最大のラジオ局グループのiHeart社に番組ライセンス購入を打診。さらにデジタル音楽配信最大手のSpotifyと提携し、2026年初めからSpotify内で人気のあるビデオ・ポッドキャスト番組をNetflixで配信すると発表した。ほかにも、衛星音声放送最大手のシリウスXMと番組のライセンス交渉を開始しているという。

これまで各社が独自に配信してきた番組が、Netflixの視聴者に届くことでこの市場が一気に拡大すると見られている。

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文=北谷賢司

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