起業家

2025.11.30 13:30

ショートドラマで世界中のクリエイターを輝かせる

石井貴基|千葉道場ファンド(写真左)・澤村直道|emole(同右)

石井貴基|千葉道場ファンド(写真左)・澤村直道|emole(同右)

澤村直道は2018年11月、emoleを創業した。同社は、「創造で挑戦できる世界へ」を掲げ、ショートドラマアプリ「BUMP」を運営。1話1~3分程度のショートドラマやアニメを豊富に取り揃え、Z世代の女性を中心に支持を獲得。22年のリリース以来、累計ダウンロード数は250万件を突破している。

千葉道場ファンドの石井貴基は、22年のシードラウンドからemoleに出資。その後も2回の追加出資を行い、継続して支援している。


石井:澤村さんと最初にお会いした22年は、まだ「ショートドラマ」という言葉が世の中にありませんでしたね。ただ、InstagramやTikTokで短尺動画が増えてきていましたし、私は短尺のドラマがコンテンツとして定着する時代が来ると思っていました。emoleは、もともとクリエイティブ関連の受託をしていて、映像やウェブ制作の実績を積んでいました。クリエイターの方がいきなりプロダクトをつくろうと思ってもなかなかできないし、その逆も然りですが、両方がわかる澤村さんなら、新しいかたちのコンテンツと、その配信プラットフォームを垂直で立ち上げられるのではと思いました。

澤村:この仕事に対する僕の根源的な動機は、ドラマなどの映像コンテンツ制作に携わる人たちが、より活躍できる場所をつくりたいという思い。これまでのドラマはすごく間口が狭くて、挑戦できる機会自体がなかったり、それゆえに理不尽な就労環境が生じてしまったりしていました。一方、ショートドラマは小さな予算で挑戦できるし、投資回収も早いので出資も受けやすい。つくり手が増えて、いろんな人たちがフェアに競争すれば、産業自体が盛り上がっていくはずです。

石井:私たちは「千葉道場」という起業家コミュニティを母体にしたファンドで、一貫して「Catch the Star」というミッションを掲げています。千葉道場に参加する起業家に、星をつかむような大きいチャレンジをし続けてほしい。そんな思いが込められています。そのため、澤村さんには、人々の生活に大きな影響を与える存在になってほしいですし、今までも私の想像を超えた成長をし続けてくださっています。初回投資時は企画書しかないところからのスタートでしたが、10カ月ほどでアプリをリリースして、配信コンテンツも6つの作品をつくるという難度の高い計画を実現させました。その後、プラットフォームは目覚ましい成長を遂げていますし、素晴らしい仲間たちも増えて経営体制が整ってきた。これらが2回の追加出資をさせてもらった理由です。

澤村:メンバー全員でオフィスに泊まり込んでコンテンツ制作とプロダクト開発をやっていたころが懐かしいですね。ある日、朝7時ぐらいまでみんなで作業して、少し仮眠を取っていたときに、石井さんがアポ無しで来てくれたことをよく覚えています。床に転がって寝ているメンバーを見ながら「いいですねえ」「今の時期の写真をたくさん撮って思い出に残しておくといいですよ」とだけ言って、差し入れの飲み物とホットアイマスクを置いて帰っていったんです。

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文=眞鍋 武 写真=平岩 享

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私がこの起業家に投資した理由

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