石井:そんなこともありましたね(笑)。
澤村:そこから時間がたち、ショートドラマの市場は大きく盛り上がってきましたが、僕らは今、国内発アプリのなかではいちばん成長している立ち位置だと思っています。SNSでも自作コンテンツの再生数は月間3億回ほどに伸びています。一方で、TikTokなどのSNSを見るのと同じような感覚でショートドラマのアプリを起動して見てくれる人がどれだけいるかを考えると、まだまだの段階。コンテンツの拡充とプロダクトの改善をどんどんやっていきます。
そして、僕にとっての「Catch the Star」は、グローバルへの挑戦です。世界のショートドラマ市場は29年に8.7兆円規模になるといわれています。その最大市場である米国では、まだ現地発のアプリが出てきていません。中華系のプレイヤーは参入していますが、彼らは自作コンテンツの配信にとどまっていて、本当の意味でのプラットフォームは存在していない。自社制作に加えて、テレビ局や出版社などいろんなプロバイダーからコンテンツを集めて配信している「BUMP」には勝ち筋がある。今夏には米国と韓国で、現地のキャスト・スタッフでの作品づくりも始めました。日本でヒットした作品を送り込む、そして現地発の作品を生み出していく。この二軸で世界中の人に広めていきたい。
石井:私も元起業家として、自分が見たことのない景色を見せてもらえることがいちばんうれしいですし、いつかプライベートの自然な会話のなかで、「BUMPで配信されているこの作品って知ってる?」って身近な人から言われる日が来ることを心待ちにしています。
いしい・たかき◎リクルート、ソニー生命保険を経て2012年にオンライン学習塾の葵を創業。17年11月、Z会グループに同社を売却。19年8月、千葉道場ファンドの設立に参画し、取締役パートナーに就任。24年、同社代表取締役ジェネラル・パートナー就任。
さわむら・なおみち◎1994年、北海道生まれ。2018年にemoleを創業。22年にショートドラマ配信アプリ「BUMP」を立ち上げ。現在までに累計250万ダウンロードを超える。25年5月、第1回アジアショートドラマアワード「アジア産業貢献賞」にノミネート。


