AIの人気銘柄であるエヌビディアは米国時間11月25日の取引で下落し、今月初めから続く不調をさらに継続した。一方で、ナスダック総合指数、S&P500種株価指数、ダウ平均株価は上昇しており、この動きと対照的だった。この背景として、メタがグーグルのAI向け半導体に数十億ドル(数千億円。1ドル=156円換算)規模の投資を検討していると、ザ・インフォメーションが報じたことがある。
エヌビディア株は2.6%下落して取引を終え、引け後の取引でもさらに0.5%下落して約177ドルの値を付けた。
24日に公開された同報道によると、メタは2027年に自社データセンターでグーグルが提供するTensor Processing Unit(TPU)を活用することを検討しているという。
ザ・インフォメーションが匿名の関係者の話として報じたところでは、「施設内でAIモデルを運用する高頻度取引企業」向けのグーグルのAIチップ事業は、エヌビディアの年間売上の10%を奪う可能性があるという。
アルファベット株は25日に1.6%上昇して取引を終え、11月初めからの上昇率は約24.2%となった。
ダウ平均は1%高、ナスダック総合指数は0.7%高、S&P500は0.9%高となり、いずれも3日連続の上昇となった。
ザ・インフォメーションによる報道は、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが、すでに年間数十億ドル(数千億円)をエヌビディア製半導体に費やしているメタと独自の合意を結ぶことで、グーグルに対して先手を打つ可能性にも言及している。
また、同報道によれば、AI推論向けの半導体に関しては、グーグルがエヌビディアに技術的に追いつきつつあるという。AI推論用半導体は、学習済みデータを基に未見のデータに対して意思決定やパターン認識を行うもので、既存のデータセットを利用してパターンを学ぶAI学習用半導体とは異なる。
エヌビディア株は年初来で32.4%高となっているが、その大幅な上昇でさえ、同時期に約70%上昇したグーグルの伸びには及ばない。10月、史上初めて時価総額が5兆ドル(約780兆円)に達した企業となったエヌビディアは、現在においても時価総額が最も高い企業であり、現時点での時価総額は4兆3000億ドル(約670.8兆円)となっている。これは、アップルの4兆1000億ドル(約639.6兆円)やアルファベットの3兆9000億ドル(約608.4兆円)を上回る数字だ。
エヌビディアは直近の四半期で570億ドル(約8.9兆円)の売上を記録し、そのうち512億ドル(約8兆円)がデータセンター部門によるものだった。テクノロジー各社は、AIの学習用途やサービスを支えるデータセンターを巡る覇権を競い合っている。



