すでに来年の休暇を計画しているだろうか。プールサイドでのんびりしたり、不足気味だった睡眠を取り戻したり、あるいはストリーミング番組を観たりと、夢のような休暇を思い描いているかもしれない。その後、さらに消耗して仕事に気が乗らない状態で自宅に戻って来るのを思い出す。だが、「スキルケーション」と呼ばれる新しいタイプの休暇が人気を集めており、職場に戻るときの感覚がまったく違うのだという。
スキルケーションとは
パフォーマンス管理プラットフォームのKlaarで収益などの責任者を務めるラナ・ピーターズによると、スキルケーションは休暇の新しい形で、従業員は有給休暇を利用して持っているスキルを磨いたりアップデートしたり、あるいはキャリアアップのために新しいスキルを習得したりしている。
PDFソフトウェアを展開するSmallpdfの人事担当副社長デイビッド・ドミンゲスによると、スキルケーションがブームになっているのは、個人の成長と生産性文化の最適なバランスをとらえているからなのだという。「優秀な人材、特にリモートワーカーにとって、旅行しながらの新しいスキル習得は休みを最大限活用しているように感じられる」とドミンゲスは話す。「スキルケーションのトレンドは、休暇の楽しみにプロフェッショナルとしての方向転換の要素を取り込んでいる」
統計では米国人旅行者の39%が、写真撮影をテーマにした遠出やヨガに没頭する滞在型の体験、他国で外国語にどっぷりと浸かる体験など、アクティビティ満載の旅行を楽しんでいることが示されている。純粋に休息するのが目的の従来の休暇とは異なり、スキルケーションは自分を活性化させる成長に焦点を当てており、好奇心や創造性、スキル開発を組み合わせることで、旅行者はより充足感を感じ、仕事に戻ったときに意欲的になっている。
スキルケーションの長所と短所
人材アセスメントのSHLのシニアコンサルタント、マレ・ベスター博士は学習こそが充電の真の鍵だと言う。「休息とは何もしないことだと思いがちだが、心身を使っていつもと違うことに取り組むことで、リフレッシュすることが多いことが心理学で示されている」とベスターは説明する。
新しいスキルを身につけたり、新しい環境で何かに挑戦したりするときに達成感を味わうのだと、ベスターは指摘する。「こうした瞬間は自分が有能で、適応力があり、まだ成長していることに気づかせてくれる」とも語る。「そうした進歩をしているという感覚は活力をもたらし、旅行後も自信とやる気が続く」
「仕事と遊びを混同してはいけない」ということわざは、時代遅れなのかもしれない。組織が仕事と休暇を混同するときは、平穏な「スローケーション」より「ワーケーション」が優先されるリスクがある。スキルケーションがワークライフバランスを低下させ、バーンアウト(燃え尽き症候群)の一因になり得るかどうか、考えてみる価値はあるだろう。
ドミンゲスは、スキルケーションは「体裁を変えた仕事」になりやすいと指摘する。「休暇を存分に楽しもうというプレッシャーは、特に旅行者が自分やLinkedIn(リンクトイン)に何かを証明する必要があると感じたときに、完全にくつろげなくする可能性がある」とドミンゲスは言う。「境界線がないと、スキルケーションは充電ではなく認知疲労につながる可能性がある。オフィスでなくバリで燃え尽きることになる」



