ピーターズは「スキルケーション」がキャリアの次のステップへの準備と野心を示すのに役立つと認める。だが、リラックスするための有給休暇の利用促進は、組織にとって利点があると強調もする。
「スキルアップは、企業が従業員に提供するトレーニングや能力開発プログラムの一部であるべきだ」とピーターズは主張する。「労働者はリラックスしてくつろぎ、仕事から離れるために休暇を使うべきだ。そうすることで、最高の状態で仕事に向き合うことができ、バーンアウトに陥る可能性を減らすことができる」
スキルケーションによる自己成長は、バーンアウトを助長するどころか逆だと主張するのは、旅行検索エンジン、スカイスキャナーの旅行動向専門家のローラ・リンゼイだ。過労やバーンアウトを遠ざけ、疲れ果てて帰ってくるのではなく、リフレッシュし、刺激を受けて帰ってくることができるとリンゼイは考えている。
「一般的に、働き過ぎや多くの米国人が感じているバーンアウトを、スキルケーションは遠ざけている」とリンゼイは指摘する。「多くの人にとって、こうしたスキル習得を盛り込んだ旅行は、日々の仕事以外で役立つスキルを身につけるためのものだ。日頃は広告の仕事をしている人が、料理好きが高じてローカル料理を探求したり、料理教室に通ったり、地元の市場や歩行者天国の出店で買い物をしたり、農場で働いたりする休暇を選ぶかもしれない」
リンゼイは、スキルケーションを仕事にしないことを勧める。そして重要なのは、個人的なものを選び、旅を全身で味わうことだとも指摘する。「私たちは2026年を自分のための旅の時代と位置づけている」と話す。「美容、料理、スポーツ、文学、アート・ダンスなど、身につけたいスキルが何であれ、重要なのは自分の情熱を追求し、それに沿って旅を計画することだ」
「昨年は天文学や乗馬、ラインダンス、植物学・ガーデニングなど、旅行者が自分の情熱を積極的に追求するトレンドとして、アストロツーリズムや園芸、アートベンチャー、カウボーイコアなどが流行した」とリンゼイは説明する。「2026年に向けても、食から美容、文学に至るまで、自分の情熱を探求することへの意欲が、米国人の休暇計画で重要な役割を果たしている」
リンゼイによると、米国人の42%が休暇の予算を立てる際に、予約するアクティビティに優先順位をつけているという。旅行者が本業以外の新しいスキルを身につけるために、読書やもの作り、スポーツ、その他の趣味など自分のニッチな興味に沿った休暇のアクティビティを探しているという。
「旅行者が何か新しいことに没頭することで挑戦が生まれ、ビーチやスパといった典型的な過ごし方とは違った種類のリセットができる」とリンゼイは主張する。「多くの旅行者は新しいスキルを身につけたという達成感から、気持ちが一新する」
2024年には「ハッシュケーション」がトレンドになった。従業員は雇用主に仕事を休むと伝えたり、居場所を明かしたりすることなく、こっそりと休暇を取っていた。スキルケーションには、休暇が公明正大で計画的という利点もある。仕事に生かせるスキルを身につける目的で休暇を取るため、会社に対して後ろめたい気持ちを抱くこともない。


