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2025.11.26 13:30

グーグルの脅威にさらされるOpenAI、巨額出資する孫正義の資産は約7750億円減少

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

ソフトバンクグループの株価が11月25日に急落し、創業者兼CEOである孫正義の資産から約50億ドル(約7750億円。1ドル=155円換算)が消えた。これは、グーグルの新しいAIモデル「Gemini 3」への熱狂が、ソフトバンクが巨額出資するOpenAIへの懸念を生んだためである。

ソフトバンク株は25日の取引で一時11%安となったものの、そこからわずかに回復し、9.95%安の1万5390円で引けた。

日本の連休明けとなる25日の下落は、前営業日(21日)の10.9%安に続くものだった。

この株価下落の背景には、ソフトバンクのビジョンファンドが巨額出資するOpenAIが、競争激化に直面するのではないかとの懸念がある。

OpenAIがもつAI市場における優位性についての懸念は、グーグルが新モデル「Gemini 3」を発表し、絶賛を受けて以降高まっている。

ソフトバンクは11月初め、OpenAIを含む重要なAI投資に充てる資金を確保するため、10月に保有していたエヌビディア株3210万株をすべて売却し、58億3000万ドル(約9037億円)を得たと発表した。

ソフトバンクの株価が9月中旬以来の安値をつけたために、同社創業者兼CEOである孫正義の推定資産は25日に49億ドル(約7595億円)減の493億ドル(約7.6兆円)となった。この結果、孫はフォーブスの『リアルタイム・ビリオネア・リスト』で32位に下落した。また、11月初めにはアジアで3番目の富豪だった彼だが、現在はユニクロ創業者兼CEOの柳井正のすぐ下となる8位まで順位を落としている。

グーグルの株価は、同社のAI事業への楽観論を背景に、米国時間25日のプレマーケット取引で4.16%高の約331ドルとなっている。先日、グーグルは「Gemini 3」を公開し、複数のベンチマークでOpenAIやアンソロピックの競合モデルを上回った。この新しいチャットボットは、その高い創作能力と新しい画像生成機能「Nano Banana Pro」で特に高い評価を得ている。

セールスフォースCEOのマーク・ベニオフは「ChatGPTを3年間毎日使ってきた。だがGemini 3を2時間使ってみたが、もう戻る気はない。その飛躍は桁違いだ」とXで投稿した。OpenAIのサム・アルトマンCEO、xAIのイーロン・マスクCEOも、この新しいAIモデルを称賛した。

一部アナリストは、グーグルのAIにおける急速な躍進が、OpenAIの優位性に深刻な脅威を与えうると懸念を示している。三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)の市場アナリスト、山田勉はブルームバーグに対し「グーグルのGemini 3が強い評価を受けたことで、OpenAIの競争環境が厳しくなるとの懸念が、株価を押し下げている」と語った。

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翻訳=江津拓哉

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