自然写真コンテストのネイチャーズ・ベスト・フォトグラフィー(NBP)では毎年、野生動物の、息をのむようなありのままの美しさを垣間見せる写真が発表される。だが時として、自然は見た目ほど過酷なばかりの世界でないことも思い出させてくれる。動物たちも、人間と同じように、滑稽で、不器用で、愛らしいのだ。
2025年度NBPの「Animal Antics(動物のユーモラスな行動)」部門に選ばれた作品には、純粋な喜びの瞬間が捉えられている。くすぐりあっているようなゴリラの子どもたち、ダンスグループの一員のようにポーズを決めるキツネザル、そして、愛情をストレートに表現するテングザルの姿だ。
これらの瞬間は、生物学者である筆者を笑わせてくれる。単にかわいいからというだけでなく、我々に最も近い霊長類の動物たちに、非常に人間的な側面が見て取れるからだ。
2025年のコンテストから、筆者お気に入りの受賞作を3点ご紹介しよう。どれも、霊長類が野生下で見せる、楽しげな一面を捉えた作品だ。
1. マウンテンゴリラ(ウガンダ、ブウィンディ原生国立公園)
この写真では、木の枝の上に、2頭の幼いマウンテンゴリラ(学名:Gorilla beringei beringei)がいる。霊長類の動物というより、休み時間の子どもたちのように見える。
彼らに完璧な遊び場を提供しているウガンダのブウィンディ原生国立公園は、この絶滅危惧種にとって最後の生息地の一つであり、ユネスコ世界遺産に指定されている。
撮影した写真家のデイヴィッド・スウィンドラーは、ゴリラの兄弟に遭遇した時の様子をこう記している。「幼い2頭が楽しげに遊ぶ姿は、見ていて愉快だった。ゴリラたちにとって重要な森林生息地をトレッキング中に見かけたものだ」



