サイエンス

2025.11.26 18:30

人のように「滑稽で、不器用で、愛らしい」動物たち、思わず微笑んでしまう写真

スマトラオランウータン((c) Marco Gaiotti of Genova, Italy. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)

3. 兄弟愛の抱擁:テングザル(ボルネオ島)

固く抱き合うような2頭のテングザル((c) Daniel Valverde Fernández of Madrid, Spain. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)
固く抱き合うような2頭のテングザル((c) Daniel Valverde Fernández of Madrid, Spain. Photos courtesy of Nature's Best Photography, All rights reserved.)

この写真で固く抱き合うような様子を見せる2頭のテングザル(学名:Nasalis larvatus)の姿は、心温まると同時に、どこか笑いを誘う。しかし、彼らの大きく肉厚な鼻は、見た目は滑稽でも、実際には重要な進化上の役割を担っている。

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2025年に学術誌『Journal of the Royal Society Interface』に発表された研究が指摘するように、オスの特大の鼻は、生まれ持った広告板と、低音増幅器の役割を兼ねている。具体的には、潜在的な交尾相手やライバルに対して、自身の身体的・性的成熟度をアピールする信号となるのだ。

音響学的効果によって、鼻が大きいほど鳴き声は低くなり、体の大きさをアピールする役割を果たす。つまり、我々には滑稽に見える鼻も、テングザルにとっては自慢のタネなのだ。

また、この鼻から出る声は、彼らの複雑な社会構造において、個体識別を可能にする重要な情報源となっている。

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それはそれとして、筆者はこの写真に人間味を感じずにいられない。撮影者のダニエル・ヴァルヴァーデ・フェルナンデスが、この写真を「兄弟愛の抱擁」と題した理由も、おそらくそうだろう。我々にはどうしても、2人の友人が笑いながら、彼らにとっては混沌とした世界で互いをしっかりと支え合っているように見えるのだ。

野生動物の多面性

2025年のNBPコンテストは、息をのむような風景や、大胆な冒険を届けてくれた。だがそれ以上に、同コンテストは毎年、我々に微笑む理由を与えてくれる。

捕食者が獲物を追う姿や、雄大な北極の景色の下には常に、もっとシンプルな真実がある。動物たちは、好奇心旺盛で感情豊かであり、そして多くの場合は、図らずもユーモラスであるという真実だ。彼らは我々に、驚嘆とユーモアは確かに共存し得ること、そして野生の世界は、その世界なりの喜びに満ちていることを思い出させてくれる。

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forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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