米フォーブス編集主幹のスティーブ・フォーブスは、ロシアによるウクライナ支配を許すいかなる和平案も、偽りの成功に終わると分析する。それは欧州、アジア、そして世界の他の地域に恐ろしい結果を招くことになる――。
いかなる代償を払ってでもウクライナに平和をもたらすという取引は、米国のみならず自由主義世界全体にとって大惨事となるだろう。米国のドナルド・トランプ大統領は、世界のあらゆる地域で平和を粘り強く追求し、複数の目覚ましい成果を上げた点では称賛に値する。だが、最も重要な未解決の紛争は、ウクライナで繰り広げられている血みどろの戦争だ。
危険なのは、ロシアによるウクライナの最終的な征服につながる計画を推し進めることにある。これは欧州にとどまらず、アジアやその他の地域にも恐ろしい結果をもたらすだろう。
米国の同盟国は間違いなく、ウクライナに強引に押し付けられた平和を欠陥のあるものと見なし、米国が敵対勢力の醜い帝国主義的野望から世界を守る戦略的展望を欠いていることの決定的な証拠と見なすだろう。同盟国は悲しみと不安を込めて、東西冷戦時代の40年間に米国が示した揺るぎない姿勢はもはや存在せず、世界はより不安定で停滞したものになると結論付けるだろう。
中国は、国際貿易の要衝である南シナ海に対する事実上の支配を確立し、かつて近隣諸国が同国に頭を下げていた時代のような現代版朝貢(ちょうこう)制度を確立する取り組みを推進していくものとみられる。各国は、米国が信頼できる対抗勢力として頼りにならない以上、中国の意向に従わざるを得ない状況に追い込まれるに違いない。
米政権が最近発表した28項目から成るウクライナ和平案は、まるでロシアのウラジーミル・プーチン大統領自身が作成したかのような内容だ。これに従えば、ウクライナは防衛上極めて重要な領土を放棄せざるを得なくなり、ロシアによる将来の攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)な状態に陥るだろう。ウクライナ軍の規模も制限される。ウクライナは自国に外国軍を駐留させ、将来のロシアによる攻撃を抑止することもできない。このような軍隊なしの安全保障は、紙切れ同然の価値しかない。



