暗号資産

2025.11.26 10:30

ビットコイン価格がピーク時から30%超下落、強気派企業「ストラテジー」は戦略を変えるか?

マイケル・セイラー(Photo by Jason Koerner/Getty Images for Bitcoin Magazine)

AIを活用し新証券を設計し、レバレッジゼロと購買力増幅の両立を狙う

その一方でセイラーは、金融を依然として「創造的な営み」として捉えている。今月マイアミで開かれたキャンター・フィッツジェラルドのカンファレンスで彼は、「人工知能(AI)と対話し、議論しながら新たな証券の設計に取り組んでいる」と語った。同社最新の優先証券の1つであるStretchは、そうしたAIとのセッションから生まれたという。

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セイラーの説明によれば、ストラテジーはレバレッジをなくす一方で、「購買力の増幅」を高めていく方針だという。彼が定義する購買力の増幅とは、永久優先証券や株式連動証券といった非負債の手段を発行することで生まれる“追加的な購買力”のことだ。セイラーは、ストラテジーが毎年30%の購買力の増幅を達成することを望んでおり、それによって同社は、ビットコイン保有量を安定的に増やしながら、転換社債の株式化によって現在11%のレバレッジを2029年までにゼロにできると主張する。

熱心な支持者は「ビットコインの利回り化」をキラーアプリと呼び、債券市場の変革を主張

「セイラーはついに“ビットコインのキラーアプリ”を見つけた」と語るのは、熱心な支持者である元パラファイ・キャピタルのリサーチアナリスト、ケビン・リーだ。彼は、ビットコインが「金を裏付けにした信用市場が発展し始めた初期段階」に似た局面に入りつつあると考えている。リーによるとストラテジーの進化は3つの章に分かれるという。第1章は、ビットコインETFが存在しなかった時期で、株式投資家がビットコインにエクスポージャーを得る“唯一のクリーンな手段”がストラテジーだった時代。第2章は、ビットコインETFのオプション市場が整う以前に、同社の流動性の高い株式とオプションが大口投資家にとって最も使いやすいヘッジ手段になっていた時代。そして現在の第3章では、セイラーが“ビットコインを直接保有できない投資家向けに、それを収益を生む資産へと変える試み”を進めている段階だ。

リーは、投資方針の制約からビットコインはおろか多くのETFも買えない債券運用者でも、ストラテジーの優先株なら購入できる点を指摘し、このモデルが広がれば“変革的な影響を持ちうる”と主張する。

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株価は長期で1160%上昇、慎重な利回り投資家の獲得が次の試金石

ストラテジーが直面する逆風にもかかわらず、同社株はセイラーが2020年8月にビットコインの買い付けを始めた当日から、現在も1160%高い水準にある。信用市場はセイラーにとって次のフロンティアになり得るが、利回りを重視する投資家は、ボラティリティを好む株式やオプションの支持層とはまったく異なる、はるかに慎重で選別的な層だ。今後の展開を見守る必要がある。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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