経営・戦略

2025.12.03 14:00

Uberやトヨタが結果を出した「人間中心のイノベーション」でビジネスを成長させる

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真に人間中心のアプローチは、強力な差別化要因として作用し、あなたのソリューションに、競合他社にはない優位性をもたらし得る。このことは、さまざまなAIツールやプラットフォームのマーケティングにも見て取れる。技術的な専門用語を並べる企業は、一般ユーザーにとっては混乱を招くばかりで、印象に残らない。一方、エンドユーザーのニーズを重視した、自然な言語を利用するツールは、自社の価値提案を顧客にとって理解しやすく、身近なものと印象づけることに成功している。

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3. 人間中心の取り組みは、社会的承認を勝ち取ることができる:ADHDのためのビジネスコーチのケース

人間中心のイノベーションは、適切に実用化されれば、成果が明確に示されるという単純な理由で、ビジネスの有意義な成長を加速させる。企業は、エンドユーザーの問題やニーズを解決するという成果をもたらすことで、社会的承認を勝ち取り、オーディエンスの信頼を構築することができるのだ。

たとえば、ADHD(注意欠如・多動症)のためのビジネスコーチを提供しているエズラ・デュヴォルフのケースを見てみよう。同氏によると、成人後にADHDと診断された起業家やビジネスオーナーはしばしば、意思決定に苦労したり、ビジネスにおける日常的な必要事項に対処するのに困難を抱えている。しかしこうした起業家は、ADHDを抱えるビジネスリーダーを対象として特別に設計されたトレーニングとコーチングのフレームワークを取り入れることで、すばらしい成果を上げることができた。このフレームワークは、当座の実行機能を担う神経基盤や、十分に活用されていない脳機能のトレーニング、非生産的習慣の忘却、ADHDの強みを生かせるワークフローの再設計といった要素を軸としたものだ。

このケーススタディでは、意思決定能力に20.09%、過負荷の感覚に27.05%、ビジネスにおける意思決定の先延ばしに29.97%の改善が見られた。ここからわかるように、有意義な効果を実証することで、デュヴォルフは、自身のフレームワークの有効性について、強力な社会的承認を勝ち取った。直接的経験に根差した社会的承認は、ビジネスにおいて競合他社に差をつける、強力な優位性になる。

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4. 激変する世界において、将来にわたる価値を証明する:トヨタのケース

イノベーションに対して人間中心のアプローチを取ることの本質的利点として最後に紹介するのは、継続的改善のカルチャーを培うという点だ。組織が真の意味で人間中心であれば、ユーザーのフィードバックを慎重に検討し、イノベーションを改良し、さらに進化させて、ユーザーのニーズの変化に対応していくだろう。これにより、組織とその製品やサービスは、常にユーザーにとって有用なものであり続け、価値提供を続けることができる。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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