WOMEN

2025.12.01 12:15

「個が生きると組織は強くなる」ソニーが明かす人事戦略と多様性推進の秘訣|WOMEN AWARD 2025 総合1位

ソニーピープルソリューションズ社長の寺田貞司(左)と、同社人材・組織開発部統括部長の堀田綾子(右)。グループの人事・総務を担い、人事施策・制度や育成支援などを通じて「ガバナンス」と「共通基盤」を支える。

ソニーピープルソリューションズ社長の寺田貞司(左)と、同社人材・組織開発部統括部長の堀田綾子(右)。グループの人事・総務を担い、人事施策・制度や育成支援などを通じて「ガバナンス」と「共通基盤」を支える。

Forbes JAPANでは、女性活躍推進法が施行された2016年から「WOMEN AWARD」を開催してきた。2025年は1665社を対象として、「本当に女性が活躍している会社」ランキングを作成。非財務データと財務データの総合スコアから算出したランキングのトップには、ソニーグループ株式会社が輝いた。制度や数値だけでなく、異なる個性が交錯する企業文化を支えてきたのは、創業期から続く多様性への信念だ。


「企業もお城と同じもの。強い石垣は、いろいろな形の石をうまくかみ合わせることでできる」

創業者のひとり・井深大の言葉は、ソニーの成長の核心を突いている。制度や数値にとどまらず、異なる個性が交錯する企業文化こそが、この会社を支えてきた。

エレクトロニクスを祖業とし、現在はゲーム、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、半導体などのさまざまな事業を展開している。事業領域が異なれば、文化も慣習も違う。だが、ぶつかり合うからこそ新しい発想が生まれる──この経験の積み重ねが、同社にとっての「ダイバーシティ」の原点だ。

1973年、初の女性課長が誕生した。男女雇用機会均等法の施行より13年早い。79年には女性の海外赴任が始まり、世の中では「総合職は男性、一般職は女性」と役割を分けていた時代に、最初から女性を総合職として採用していた。

「我々の採用は最初から性別で線を引きません。個人の能力と意欲を重視する文化が根づいていました」と、グループ全体の人事・総務領域を担うソニーピープルソリューションズ代表取締役社長の寺田貞司は語る。

伝統的な基幹産業とは異なり、祖業がエレクトロニクスという新興産業で戦後に創業した会社だったため、事業の成長に応じて多様な人材を採用できたことも幸いした。

国内グループの女性管理職比率は12.8%(2024年度末時点)。海外の31.6%と比べると低く見えるが、これは文化の違いではない。エンタテインメント・テクノロジー&サービスや半導体事業では女性社員の比率が低く、そもそも日本の工学部学生の8割以上が男性という構造的課題がある。だからこそ同社は、教育機関との連携や理工学系分野を学ぶ女子学生向け支援プログラム「SONY STEAM GIRLS EXPERIENCE」など、STEAM教育支援を通じて理系女性の裾野を広げようとしている。

多様な人材が活躍するには、制度の支えが要る。育児、介護、病気の治療、卵子凍結などと、仕事との両立支援策をまとめたのが「Symphony Plan」だ。

「例えば育児休暇で言うと、以前は、男性も育休を取れるのに、有休を使う人もいたんです。ライフイベントをサポートする制度が充実する半面、どれが適用になるかわかりづらかったのかもしれません」と人材・組織開発部統括部長の堀田綾子は振り返る。支援制度をパッケージ化し、社内ポータルサイトを立ち上げたことは社員が制度を知るきっかけになり、利用率向上につながった。

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文=渡辺一朗 写真=若原瑞昌

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