ここで、総合ランキング上位10社の差別化要因を考察したい。
1位|ソニーグループ(72.55点)
創業者・井深大が物語として語っていた「多様性」が令和の時代に結実。人的資本開発と財務パフォーマンス(85.7/90.6)が突出し、女性の専門職・管理職登用が進展。多様なキャリアパスとグローバル研修体系、出産・育児後の継続支援も充実。制度の「量」ではなく成果の「質」で業界をリード。
2位|三井物産(71.49点)
世界規模の総合商社として、ダイバーシティと育成スコア(82.8/85.7)が高い。働き方改革により長時間労働構造を改革し、海外拠点での女性登用も進む。サステナビリティ経営を推進する実践型リーダーが増加し、伝統的商社業界で文化的変革を牽引。
3位|伊藤忠商事(71.36点)
効率的な労働文化を築いた「朝型経営」の先駆者。人的資本と財務パフォーマンス(85.7/77.7)が安定的に高く、性別を問わず成果で評価する制度を整備。男性育休の促進や評価の公平性改革を進め、女性総合職比率の上昇を着実に実現。
4位|ボーテ(71.04点)
美容・ウェルネス関連の非上場企業。人的資本、労働環境(97.4/86.0)が際立つ。経営陣の多くが女性で、教育・研修制度や公正な報酬体系が成熟。女性中心の組織運営が企業成長と直結する“人的資本経営の象徴”として注目に値する。
5位|帝人(69.96点)
化学・素材メーカーとしてダイバーシティと育成(83.8/85.7)が高水準。女性技術職や研究職への積極投資に加え、健康経営・メンタルケア支援も充実。長期的なキャリア支援により、製造業における「持続的包摂型人材戦略」の成功例を示す。
6位| 第一三共(69.69点)
製薬大手として人的資本開発(85.7)を軸に成長。女性研究者や管理職の国際登用を推進し、科学的人材育成とイノベーション創出を両立。グローバル人事制度の透明性が高く、ダイバーシティを研究成果に直結させている点が評価された。7位| 大和証券グループ本社(68.08点)
金融業界の女性支援の先駆者。労働環境・財務パフォーマンス(62.2/71.5)が安定し、柔軟な勤務制度と明確なキャリアパスを整備。女性管理職比率を着実に伸ばし、金融×人的資本経営を実践するモデル企業。8位|武田薬品工業(67.81点)
グローバル本社体制を持つ製薬リーダー。多様性経営をコアに、人的資本開発(85.7)が堅調。リモート活用・再挑戦制度など、ライフイベント後のキャリア継続支援を徹底。多文化・多国籍の包摂性を伴う女性活躍モデルを形成。
9位| ゆうちょ銀行(67.22点)
金融機関として人的資本(97.0)が突出。女性登用・育成に加え、評価制度の透明化とキャリア選択の多様化を推進。公共性の高い企業でありながら変革を実現し、「大規模・安定企業でも変われる」ことを示した象徴的存在。10位| H2L(67.13点)
身体拡張技術を手がけるスタートアップ。ダイバーシティ(89.0)と育成(85.7)が高く、経営層・技術者の女性比率が高い。フラットな組織構造と柔軟な働き方を実践し、小規模ながらも次世代型ダイバーシティ経営の象徴。
女性活躍は今や企業文化改革ではなく、「経営成果を生む戦略領域」へと進化している。本アワードは、その戦略をデータ駆動型で推進するために一石を投じるものである。
平瀬錬司◎国内最大級のESGデータ分析プラットフォーム「TERRAST」、世界規制に準拠したESGデータの開示・分析支援ソリューション「TERRAST powered by Uniqus」等を開発。最新のデータ分析手法と伴走支援ソリューションを提供し、真に“良い企業”が照らされる社会の創成を目指す。一般社団法人サステナビリティデータ標準化機構代表理事。


