WOMEN

2025.12.08 18:30

伊藤忠、帝人、大和証券… WOMEN AWARD 2025 企業ランキングTOP10社の「経営成果を生む企業戦略」

今、企業の女性活躍は、明確な転換点にある──。ESGデータ分析の専門家集団サステナブル・ラボは、こう指摘する。昨年に引き続き、Forbes JAPAN「WOMEN AWARD」のランキング設計を手がけた同社のCEO平瀬錬司と、ESGリサーチマネージャーのジャッキー・ヤンが、日本の女性活躍の潮流を読み解く。


ダイバーシティは「理念」ではなく「生産性向上のドライバー」だ 

非財務データと財務データの統合評価によって決まる「WOMEN AWARD」の企業ランキング。 今回は、ビッグデータと統計的手法を用いて全1,665社を分析し、ランキングを設計した。

本アワードの前提に「女性活躍は企業の競争力に直結する」という基本理念がある。ランキングはこの仮説に基づき、ダイバーシティ推進を“経営戦略の一部”として評価するものである。評価軸は、1.ダイバーシティ(登用・比率・文化)2.人的資本開発(育成・教育・リーダー育成)、3.労働環境(柔軟な働き方・制度整備)、4.財務パフォーマンス・生産性(成果との接続)の4カテゴリで構成し、総合スコア化した。

調査対象は、東証プライム市場上場企業に加え、本アワードへの応募企業(非上場がメイン)も含まれる。そこで、同一の土台で比較可能な指標群を設定し、情報開示量や企業規模による偏りを最小化して、上場/非上場を問わない公平設計を実現した。その際、どちらかが有利になりすぎないよう、指標ごとに重みを調整してバランスをとった。

昨年までは「在宅勤務の有無」等を指標項目に盛り込んでいたが、コロナ期特有の一時指標と判断して削除。代わって、経営トップ発言や統合報告書における「女性関連言及」をAIで抽出し、評価に加えた。

さらに今年は、女性活躍を非財務の文脈に留めず、生産性・業績・企業価値との関連を重視する設計にした。上記カテゴリの2.と4.の両立を示す企業を高く評価し、4.が一定水準に満たない企業は上位にあがれない仕組みにした。加えて、直近6カ月に重大な不祥事が発生していた場合は減点のペナルティを科すこととした。これらの変更により、企業ランキングは、理念よりも“実効性と成果”を重視した設計に刷新された。

調査結果を俯瞰すると、日本の企業における女性活躍は今、転換期を迎えていることがわかる。「制度導入」段階を越え、「成果創出」段階へと移行しつつあるのだ。

2016年の女性活躍推進法の施行以降、女性管理職比率は上昇し、男性育休や多様なキャリア支援が拡大した。女性の働きづらさが改善したことで、ダイバーシティ推進の主役は多様なジェンダーや属性へと移り、今や「組織全体の包摂性」を評価する仕組みへと進化している。

今回のランキングでも、ダイバーシティを「理念」ではなく、「生産性向上のドライバー」として捉える企業が上位に並ぶ結果となった。

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インタビュー=フォーブス ジャパン編集部

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