今週は、細い三日月として夕空に戻ってきた月が少しずつ存在感を増してゆく。日が沈んで間もない西の空にかかる夕月の眺めは美しく、星空観察を始めるきっかけにちょうどいい。早起きの人は、金星と水星の短い逢瀬を目撃できるかもしれない。一方、宵の空では土星と木星が明るく輝く。2025年11月最終週の夜空の見どころについてまとめた。
11月26日(水):金星と水星の邂逅

夜明け前、東南東の低空に、太陽系最小の惑星・水星を探してみよう。輝く「明けの明星」こと金星のすぐ上にあり、肉眼で観察できる珍しい機会だ。地平線または水平線まで視界が開けた場所であることが必要となる。金星と比べると水星は暗いため、かなり注意深く探さなければならないだろう。双眼鏡があると見つけやすい。明け方の空での水星の見ごろは12月上旬まで続く。
11月28日(金):上弦の月
今宵は上弦の月。日没後、南の空の高い位置に、向かって右側半分だけが光った姿を現す。上弦の頃の月は、双眼鏡や望遠鏡で観察する好機だ。月面の明るい部分と欠けた暗い部分との境目(明暗境界線:terminator)に沿って、クレーターや山脈などの地形がくっきりと影になって浮かび上がって見える。

ただし、上弦を過ぎると来週の満月が終わるまで月明かりが夜を照らし、天体観測は難しくなる。
11月29日(土):月と土星がランデブー
夕闇があたりを包む頃、南南東の上空で、上弦を過ぎたばかりの半月と土星が並んで輝く。土星の明るさは、9月に地球から見て太陽と正反対の位置にくる「衝(しょう)」を迎えた時ほどではなくなったものの、今でも肉眼ですぐ見つけられる。

夜の帳がすっかり下りると、東の空に木星が昇ってくる。年明け1月に「衝」を控えており、着々と明るさを増している。
11月30日(日):水星が見ごろを迎える
日の出の約30分前、明け方の空で水星の高度が10度を超え、見つけやすくなる。12月上旬にかけてが観察のチャンスだ。週明けからは周囲の星をしのぐ明るさできらめくようになる。地平線間際では、朝がくるたびに高度を下げていく金星も観測できる。





