International Wine & Spirit Competition(IWSC:インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)は、酒類業界における有力な権威の1つとなっており、様々なボトルが本気で試される場所だ。同コンペに新たに創設された「トップ50 ワイン&スピリッツ生産者」ランキングは、単発で金賞を獲るだけでなく、毎年その全レンジでメダル級の品質を出し続ける造り手を称えるものだ。本稿では、そうした生産者の背後にある際立ったジンのボトルに焦点を当てる。
1969年の創設以来、ロンドンを拠点とするIWSCには90超の国々から何千もの出品が寄せられ、厳格なブラインド・テイスティング条件の下で互いに比較されてきた。IWSCのチームと連携しながら、私は常に表彰台に上がり続けるスピリッツの栄誉リスト(honor roll)をまとめた。選定条件は過去5回の大会のうち少なくとも3回で金賞を獲得していること──信頼性をスター性と同等に重んじる厳しい基準である。主要なスピリッツのすべてのカテゴリーにまたがる何千点という出品の中で、このハードルを越えたのはわずか46点だった。
世界最高のジン栄誉リスト
本特集では、メダル常連の上位ジン6本にズームインする。生産者の簡単な背景と私のテイスティング所感を組み合わせ、製法上の選択やボタニカルのレシピの違いが、同じスピリッツでありながらいかに驚くほど多様でありつつも一貫して魅力的な表現を生み出し得るかを示す。
1. EG Spirits GmbH, Elephant Strength Gin, 57% ABV, 750 ml.
EG Spirits GmbHは、アフリカでのゾウの保護活動を支援するソーシャル・コンシャスなブランド「Elephant Gin」で最もよく知られている。「Elephant Strength」とはネイビー・ストレングス(海軍規格の高アルコール度数)の表現で、力強い57% ABVでボトリングされている。
このジンは、まず豊かなジュニパーの香りが立ち、土っぽいアンジェリカ(セリ科の根)、松脂、乾燥ハーブやシトラスピールの背景が続く。口中ではフルボディで堂々としており、力強いジュニパーに、オレンジの皮、ジンジャー、アニス/リコリスのほのかなニュアンスがバランスを取る。オイリーで樹脂のような口当たりが強度と重厚感を与える。フィニッシュは長く力強く、スパイシーな熱感と松やシトラスのオイルが余韻に残る。高めのアルコール度数がパンチを与えつつ、ボタニカルを圧倒するのではなく引き立てている。



