AI

2025.11.25 10:30

AIバブルはそれほど「深刻でない」理由、いやそもそも存在しない

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AIバブルの軌跡

これはバブルの軌跡ではない。新しい産業時代の初期アーキテクチャだ。

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これこそが、従来のバブルと比較した予測が外れる理由である。過去のインフラブームは、誰も使わないほど多くの容量を構築したことで悪名高い。貨物が存在する前に鉄道が敷かれ、開発された住宅は空き家となり、通信企業は使われないダークファイバーを大量に敷設した。AIはその逆である。計算能力も、電力も足りていないのだ。

A100Xの創業者でマネージングパートナーのニサ・アモイルズは私にこう語った。「データセンター、電力、トークンの需要は飽和することなく増えている。鉄道、住宅、ファイバーといった従来のインフラブームが、空の貨車、空き家、使われることのない長い光ファイバーによって特徴づけられていたのとは異なり、AIのために構築されている容量とフレームワークは、実際に使われている。企業や消費者が安全に利用できるAI関連スタートアップに戦略的に投資することは、賢明な判断だ」

彼女の指摘は、この容量が需要待ちの投機ではなく、需要がすでに存在し、インフラがそれに追いつけていないことを強調している。

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「AIバブル」という主張の背後にある心理

政治、金融、技術にかかわらず、すべての表面的なバブルは同じパターンをたどる。システムは極端へと漂うのではない。反応して極端へ向かう。構造が弱まり、動揺すると、人々や制度は安定を求めて誇張された反応を示す。

政治理論家たちは長い間、極端な運動は独立して現れることがないことを観察してきた。それらは以前の混乱に反応して出現する。人々は、不安定さを感じるほど確実性を求める。システムが機能しなくなると、最も強く見える安定の形に引き寄せられる。

技術も同じように進化する。ドットコムブームは新しいデジタルフロンティアへの反応だった。暗号資産の急騰は2008年の金融危機後の反応だった。今日のAIへの熱狂はより広いものへの反応だ。つまり、情報システムと経済システムが現実に追いつけていないという認識である。

AIは無秩序への反応として上昇している。世界が混沌としているように感じられるなか、計算による確実性は魅力的になる。市場は将来の収益だけを織り込んでいるのではない。拡張された知性が均衡を回復してくれるという希望を織り込んでいる。

現在の状況が必然的なものに感じられるのは、それが純粋な投機ではなく、より深い心理的、構造的緊張を反映したものであるからだ。安定への欲求が、資本、計算、エネルギーを通じて表現されているのである。

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翻訳=江津拓哉

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