私は約20年にわたり、中堅からベテランのビジネスパーソンやリーダー層のコーチングを担当し、やりがいを感じられる目標探しから、その達成までをサポートをしてきた。このコーチングの核となるのは、クライアントが自分の価値観に沿った選択を行い、自分の強みを理解し、より大きな価値を生み出せるよう導くことだ。
長年にわたる活動を通じて私は数えきれないほど多くの人が、転職というキャリアの岐路で、自分を面接している「未来の上司」が果たしてともに働きたいと思える人物なのか、答えが出せずに悩んでいる姿を見てきた。
経験豊富なベテランでも、この選択には迷うことがある。過去の選択で失敗した経験──誤ったリーダーのもとで働き、その指示に従わざるを得なかったこと、自分の価値観と合わない会社に入ったこと、後になって自分には合わない仕事だと気づいたこと──などが影響しているのかもしれない。
他にも、自分の判断に自信が持てず、上司や職場に何を望むのかが定まらないことで、決断に踏み切れない人もいる。
人が誤った決断をしてしまう典型的な5つの理由
1. 自分が重視する価値観と一致していなかった
自分が心から大切にし、信じている価値観から外れた選択をすると、たとえ表面的には魅力的に見えても不満や失望を感じる結果になりやすい。
2. 物怖じして、要望や懸念をはっきりと伝えられなかった。または実行する勇気がなかった
ときに人は、心のなかでは正しい判断をしているのに行動に移せず、中途半端で不満足な結果に終わってしまうことがある。
3. ポジティブな思考からではなく、恐れや無力感に基づいての決断だった
不安、恐怖、心配に基づいた決断が長期的な満足感をもたらすことはほぼない。
4. その決断により起こる結果を十分に検討していなかった
その選択が日々の仕事や生活にどのような結果をもたらすかを慎重に検討しておかなければ、後々とり返しのつかない問題が起こる可能性がある。
5. 「本質ではない問題」に焦点を当てていた
私たちはしばしば真に重要な問題ではなく表面的な問題に捉われ、誤った判断をしがちだ。
今日の急速に変化する労働環境、次々と導入される新技術とそれに伴う課題に対峙するなかでは、職場で「誰」を、そして「何」を支えるのかを理解しておくことがかつてないほど重要になっている。とりわけ上司となる人物は、日々の仕事だけでなく、あなたの成長や長期的なキャリアにも大きな影響を与える存在となる。



