9. チームや組織全体の成長を支えているか?
この未来の上司は、仲の良い特定の部下だけでなく、チーム、そして組織全体の成長、安全、目標達成を考えた行動をとっているだろうか?上司のえこひいきは、パフォーマンスや組織文化に悪影響を与える。
10. 信頼関係を育むリーダーシップをとっているか?
この未来の上司は対立を減らし、違いを超えたつながりを促進し、認め合い、助け合う関係をつくろうとしていると心から思えるだろうか?「社員の力を引き出す上司」は皆の結束力を高め、互いの協力を促し、組織に貢献した人の成果を認め、誰もが見守られ、意見を聞き入れられ、価値ある存在だと感じられる企業文化をつくる。
ただ面接で会うだけでは、これらの質問に確信を持って答えるのは難しいかもしれない。そうした場合に重要なのは、現役社員・元社員に話を聞くことや、インターネットで企業のレビューを確認しすること、また、未来の上司が外部に向けて発信している情報をチェックすることだ。上司の姿勢や組織文化を理解するために、必要なことはすべて行おう。上司について誰かに話を聞く際は、問題発生時の対処法やフィードバックの伝え方、誰かを昇進させる際の公平性、部下との日常的なコミュニケーションのスタイルなどを尋ねるといい。こうした情報収集からは、面接ではわからない傾向が見えてくることがある。
もし10の質問の回答の多くが「NO」であった場合、明確な答えが出ているのも同じだ。その上司や職場環境は、あなたがコミットしたい相手・環境ではない可能性が高い。自分の明確な判断基準に基づいて、自信を持って入社辞退を決めることは、あなたの価値観や理想とする上司像、キャリア目標と合致しない条件下で働くよりも、長期的に見てより良い結果をもたらすはずだ。
「正しい上司を選ぶ」ことは、単なる職探し以上の意味を持つ。それは自分が目指す理想像と、自身を成長させてくれる理想の職場像を明らかにすることだ。仕事のできるビジネスパーソンは尊敬できる上司を選び、学んでいく。そして「尊敬できる上司」とは、組織全体の信頼関係を高め、社員の成長と目標達成を後押しする人物だ。
肝心なのは、これらの質問が単に未来の上司を審査するためのものではないということだ。質問に答えていくことで自分自身の優先事項や価値観が明確になり、自信を持って決断できるようになる。あなたがこれから選ぶ上司、所属するチーム、そして組織文化は単なる「仕事」を超えて、長期的な成長や満足感、充実した人生を形づくる基盤となる。
私がこれまで関わってきたすばらしいビジネスパーソンたちは、職探しの際に仕事の内容だけではなく、自分の可能性を引き出し、広げてくれる上司を見極めることも重視している。


