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2025.11.27 18:00

カップルが「しっくりこなくなる」本当の理由──恋愛関係を蝕む5つの憤りとは

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愛情が冷めるとき、それは重大な過ちゆえのことと思い込むことが多い。だが、よくよく考えてみると、ほとんどのケースにおいて共通のパターンが浮かび上がる。2人の間で小さな、言葉にされないが時間をかけて蓄積されていくというものだ。忘れられた感謝の気持ちや報われない努力、そして多くの場合、信念へと硬化する無言の思い込みだ。

ほとんどのカップルが「ひどいケンカをした。耳を傾けてもらえないと感じるからだと思う」ではなく「なぜだかわからないけど、何かしっくりこない」と言ってセラピーを受けに来るのも不思議ではない。その糸を注意深くたどって深く掘り下げると、ほぼ確実に問題の核心に憤りがある。それはとらえにくく、明確に表現されず、本人にも見えないことが多い。

憤りは、正確には怒りではない。怒りは能動的で、声を荒げ、はっきりとしたものであるのに対し、憤りは通常、堆積性の性質を持つ。憤りは時間をかけて何層にも重なり、多くの場合、カップルは憤りによって関係が不平等な状況になることを予見していない。以下に挙げるのは、カップルが静かに抱え込みやすい、繰り返し起こる5つの憤りだ。

1. 「感情労働の不均衡」による憤り

記念日などの重要な日を覚えておく、日々必要なものの調達を計画する、相手の気分やニーズを気に掛ける、予定を立てる、関係の修復が必要な時を察知するーー。これらの日常のタスクを一手に引き受けることは、最大の重荷となり得る。

不公平な感情労働は、長期的な恋愛関係における緊張と憤りの最も一般的で誤解される原因の1つだ。学術誌『Sex Roles』に2023年に掲載された31の研究のシステマティック・レビューでは、2人が一緒に暮らす上で予定を立てたり、物事をフォローしたり、感情面での管理を引き受けたりといった目に見えない責任は、異性間カップルにおいては女性の側に大きくのしかかることが示されている。そして、こうした労働は主に家庭内で行われ、往々にして目に見えない形で行われるため、通常、そうした労働を担わないパートナーに気づいてもらえない。

研究ではまた、精神的負荷がかかっている人ほどストレスが大きく、関係の満足度が低いことも示されている。もちろん、それぞれが自分のタスクに圧倒されることはあるが、感情労働を引き受けるとさらに大きな負担を抱え込むことになる。これは通常、一方のパートナー(通常は女性)が2人の感情面をケアし、相手は単にその恩恵を受けるという暗黙の期待だ。

憤りは、単に多くのことをしすぎるために生じるのではない。むしろ、感情労働は常に目に見えるわけではないにもかかわらず、その存在を覚えているのは自分だけであることから生じる。 もし自分が覚えている人でなかったら、その仕事は本当に成し遂げられることはないだろう。やがて、かつては自動的なものだと感じていたケアも、知らず知らずのうちに自分が引き受けた責務のように感じられるようになる。

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翻訳=溝口慈子

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