アマゾンやネットフリックスで首位を獲得し、看板スターを超える視聴時間を叩き出す
プライムビデオで配信された『プレイ・ダーティ』は、配信開始週に全ストリーミングサービス横断ランキングで視聴数トップとなり、最初の3週間の視聴時間は約2300万時間に到達した。アップルは2023年のウォールバーグ主演作『ファミリー・プラン』が同社史上“最も視聴された映画”になったと発表している。また2024年の『ザ・ユニオン』も、ネットフリックスの歴代映画視聴ランキングでトップ10のすぐ外側に位置している。
ネットフリックスが公表した2025年上半期のエンゲージメント報告書によれば、1月から6月までにユーザーがウォールバーグ出演作に費やした視聴時間は3億5000万時間を超え、同プラットフォームの看板スターであるアダム・サンドラーを30%上回った。この期間に「ネットフリックスで最も視聴された映画170本」のうち、ウォールバーグ主演作は7本を占めており、これを上回るのはデンゼル・ワシントンだけだ。
一方、ウォールバーグは劇場公開作品を完全に捨てたわけではない。2022年の『アンチャーテッド』には準主役として出演し、近年も『フライト・リスク』『ファーザー・スチュー』『アーサー・ザ・キング』といった中規模のインディー作品に主演してきた。しかし現在、ウォールバーグのスター性が最も発揮される場は、明らかにストリーミングだ。
エンタメ業界の調査会社Greenlight Analyticsのブランダン・カッツによると、ウォールバーグは劇場作品では「観客を劇場に呼ぶ主役」ではなく、「付加価値としての存在」になりつつあると指摘する。観客は、ウォールバーグ作品をストリーミングで見るものだと“学習してしまった”というのだ。Greenlightは俳優の集客力について映画館とストリーミングを比較する調査を定期的に行っており、ウォールバーグを「劇場で見る役者」と回答したのは41%だった。一方ストリーミングのスコアは54%と、トム・クルーズ(52%)やドウェイン・ジョンソン(56%)と同水準だった。
ウォールバーグが得意とするタイプの映画──銃を手にした男が活躍するアクションや、家族向けコメディ(『ファミリー・プラン2』のように両方を兼ねた作品もある)──は、シリーズ作品ではないこともあって、近年の劇場公開カレンダーからは姿を消しつつある。代わりに、ターゲットを絞ったニッチ作品や、巨大ブランドを背景にしたブロックバスターが中心になっている。だがストリーミングでは、視聴者が「見慣れた顔の出る、楽しいジャンル映画」に引きつけられる傾向が一貫して現れている。
「この15年で、劇場ではスターの力が弱まり、IP(知的財産)やブランドの力が強まった」とカッツは語る。「だが、ストリーミングでは依然としてスターの力は非常に重要で、視聴を引っ張る要因になっている。もしスターの存在が重要でなければ、主要ストリーマーがスターに数千万ドル(数十億円)規模のギャラを払う理由はない」。


