ビットコインをはじめとする暗号資産の価格が急落している。
ビットコイン価格は10月につけた12万6000ドル(約2000万円。1ドル=157円換算)から約8万6000ドル(約1400万円)まで下落した。これは、ドナルド・トランプ大統領による貿易関税が市場全体に広範なパニックを引き起こした4月以来の安値である。
今、トレーダーたちは連邦準備制度理事会(FRB)の動きを先取りしようとしている。遅れて発表された雇用データにより、12月の利下げの可能性が大きく低下したためだ。従来予想通り利下げが実施されれば、ビットコインなどのリスク資産を支えると見込まれていた。
「9月における米国の雇用数は予想を大幅に上回り、政府閉鎖前の明るい状況を示した。これは5カ月ぶりの最大の雇用増である」と、ウェルス・クラブの投資マネジャーであるアイザック・ステルはEメールで述べた。
この統計は本来ならば10月3日に発表される予定だったものの、政府閉鎖により発表が延期されていた。同データは9月に11万9000人の雇用が追加されたことを示している。これは12月9日に予定されているFRBの金利決定会合で参考にされるであろうデータの中で最新のものである。
「すでに古くなったデータだが、これは年末の会合前に発表される唯一の主要な雇用関連データになる」とステルは述べた。
以前に公表された直近会合の議事録では、利下げを行うか、金利を維持するかについてFRB理事の中で意見が割れていることが示されていた。
「議事録では、2025年の最終利下げを巡ってFRB内部に迷いがあることが明らかになった。今回の雇用データが強かったことで、金利が引き下げられる可能性は低くなった」とステルは述べた。「したがって、この12月、FRBのサンタクロースはベルを鳴らすことはないだろう。米国の消費者は、きれいに包装された利下げではなく、石炭の塊を渡されることになる」
CMEのFedWatchツールによると、12月の利下げの確率はここ数週間で急低下しており、トレーダーは現在、利下げの可能性をわずか40パーセントと織り込んでいる。これは瀬戸際にあるビットコインと暗号資産にとっては大きな打撃だ。
「暗号資産市場は依然として悲観的で、ネガティブなニュースに敏感に反応し、ポジティブなニュースが出てもすぐにしぼんでしまう」と、FxProでチーフ市場アナリストを務めるアレックス・クプツィケヴィチはEメールで述べた。
また、「このような状況では、ベア(弱気派)がストップ・アウト・レベルを見つけ、自己増殖的な売りの雪崩がいつ起きても不思議ではない」と彼は付け加えた。



