経営・戦略

2025.11.21 14:00

米通信大手のベライゾン、1万3000人超の人員削減実施か──同社史上最大のレイオフ

Justin Sullivan/Getty Images

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ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は米国時間11月20日、米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズが1万3000人を超える従業員を削減する見通しだと報じた。これは同社史上最大規模のレイオフであり、競争の激しい市場環境のなか、新CEOのダン・シュルマンがコスト削減を進める動きの一環であると同紙は伝えている。

シュルマンの社内メールを引用したWSJの報道によれば、ベライゾンは、レイオフの対象となる従業員への通知を近く開始する見通しだ。

ベライゾンは、外部委託の労働力の規模を縮小し、約200店舗のフランチャイズ化も検討しているとされる。

同社は10月、2四半期連続の契約者数減少を報告し、前CEOのハンス・ベストベリの下でTモバイルなどの競合に市場シェアを奪われていたことを受け、シュルマンを新しいCEOに任命した。

ベライゾンは、今年に入り人員削減を実施したテクノロジー企業のリストに加わった。このリストは拡大を続けており、アマゾン、インテル、IBM、オラクルなども同様にレイオフを行っている。

2025年は雇用の創出が大幅に鈍化する一方で、人員削減が加速している。米国史上最長となった政府閉鎖により、連邦準備制度理事会(FRB)が金利判断に必要とする重要な経済データの公表が遅れている。労働省が20日に発表した9月の雇用統計では、失業率がわずかに上昇した一方、雇用は継続して増加したことが示された。

FRBは10月に25ベーシスポイントの利下げを実施したが、これは2カ月連続となる。ドナルド・トランプ大統領は就任以来、一貫してより積極的な利下げを求めており、年初にパウエル議長が金利を据え置いたことを批判していた。企業は、次回12月の会合でFRBがさらなる利下げに踏み切るかを見極めており、金利が低下すれば経済に資金が流れ込み、企業が人員拡大に動く可能性がある。

ペイパル・ホールディングスの元CEOであるダン・シュルマンは、AT&TやTモバイルと激しい競争を繰り広げるベライゾンの指揮を執るため、新たにCEOに任命された。3社は長年にわたり互いの顧客を奪い合い、魅力的な割引やプロモーションを打ち出してきた。しかし、ベライゾンの株価パフォーマンスは競合他社に遅れをとっている。

専門家らは、大企業の間で継続的に実施されるレイオフは、労働市場の弱体化と、テクノロジー産業の一部でAI導入が進んでいることの結果であると指摘している。10月だけでも、アマゾンが約1万4000人のレイオフを発表したほか、UPSはさらなる人員削減を発表し、その年間合計人数が4万8000人に拡大した。

最近のゴールドマン・サックスの分析では、ギグワークに従事する労働者が増加していることが示されている。雇用増加が鈍る中でもギグワーク・プラットフォームで働く時間が増えていることから、労働市場の冷え込みとともに副業を選ぶ労働者が増えていると示唆されている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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