米国時間11月20日の午後、米国の主要株価指数は軒並み下落した。序盤には急騰していたが、連邦準備制度理事会(FRB)が12月に追加利下げを行うとの期待がしぼみ、投資家が後退姿勢を見せたためだ。
ダウ平均株価は20日の午後までに約1100ポイントの値幅で乱高下し、序盤には700ポイント超上昇していたものの、その後およそ320ポイント(0.7%)下落した。S&P500種株価指数(1.1%安)とナスダック総合指数(1.5%安)も同様に、序盤の上昇から反転した。
半導体大手のエヌビディアは、四半期決算が市場予想を上回ったことで序盤には3.5%上昇したものの、その後2.5%下落した。同社の他にも、インテル(2.8%安)、AMD(6%安)、パランティア(5.2%安)、クアルコム(3.1%安)、アマゾン(1.8%安)、マイクロソフト(1.5%安)、メタ(1.1%安)、テスラ(1.5%安)などが市場全体の下落を牽引した。
エヌビディアは、テック銘柄が多いナスダックやダウ平均の下げも主導した。ダウ平均は、ボーイング(3.7%安)、ウォルト・ディズニー(1.8%安)、ゴールドマン・サックス(1.1%安)、シスコ(2.9%安)などの下落によっても押し下げられた。
KKMファイナンシャルのアナリスト、ジェフ・キルバーグはCNBCに対し、エヌビディア株の反転下落、ひいてはテック銘柄全般の下落は、12月の利下げ観測の後退と同時に起きたと語った。CMEのFedWatchツールによれば、12月に25ベーシスポイントの利下げが実施され、政策金利の目標レンジが3.5%から3.75%の範囲になる可能性は40%弱と見積もられている。10月にはその確率は90%近くまで上昇していたが、20日には低下した。これは、労働統計局が発表した雇用統計で、失業率が4.4%と悪化した一方、9月の雇用者数は11万9000人増と市場予想を大きく上回ったことから、労働市場に短期的な持ち直しの兆しがあるとの見方が出たためである。
エヌビディアは19日の夕方に発表した第3四半期決算で、売上高が570億ドル(約8兆9800億円)となり、ファクトセットがまとめた市場予想の549億ドル(約8兆6500億円)を大きく上回った。売上高の大部分を占めたのは512億ドル(約8兆700億円)のデータセンター事業収益で、企業が先端AI半導体を使ったインフラの拡張を進めていることが背景にある。同社の売上高は前四半期比22%増、前年同期比62%増であった。



