欧州

2025.11.21 08:30

ボートに乗ったロシア軍水兵が散弾銃で無人機を次々に撃墜 有効な戦術なのか?

ウクライナのドニプロ川でロシア兵らがFPVドローン(無人機)を迎撃しているとみられる様子。テレグラムに投稿された動画から

ロシアメディアも散弾銃でFPVドローンを撃ち落とす訓練について報じており、五輪メダリストらが指導することもあるという。射撃選手らによると、戦場のように死が迫る緊張にさらされていない状態でも、FPVドローンを撃つのはクレーを撃つのより難しいというが、不可能ではない。

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散弾銃メーカーもこの新市場向けに製品を供給し始めている。イタリアのベネリ社が開発した「M4 A.I.ドローン・ガーディアン」という散弾銃は、小型ドローンの撃墜に特化した専用設計となっており、タングステン弾を使用する。

とはいえ、散弾銃を携行していれば必ずドローン攻撃から身を守れると考えるのは誤りだ。今回のような動画は「生存者バイアス」を助長しがちだ。つまり、散弾銃のおかげでFPVドローン攻撃を生き延びた事例に注目するあまり、散弾銃を持っていてもFPVドローン攻撃で死亡した事例を無視してしまう。

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実際には、散弾銃で攻撃を防ぎ損ねたロシア軍の生存者の動画も存在する。そのひとつには、兵士が飛来したFPVドローンを銃で撃ち損じ、哨戒中の仲間を守れなかった様子が映っている。また、あるロシア兵の説明によると、彼の部隊は自分たちの車両を攻撃してきたFPVドローン数機を散弾銃で次々に撃ち落としたものの、銃弾が尽きてしまった。その後、車両は6機目のドローンの直撃を受けて炎上し、乗っていた数人が負傷したという。冒頭の動画内でもう一隻のボートに乗っていた兵士たちも、散弾銃の有効性について違った話をするかもしれない。

散弾銃を手にした兵士を攻撃するFPVドローン側からの映像も数多くある。ただし、ここでも生存者バイアスがはたらきやすく、彼らがやられる前にドローンを何機撃ち落としていたのかはわからない。それでも、彼らが最後にどうなったのかはわかる。

それは重要な教訓を与えている。散弾銃はあくまで、FPVドローンに対する最後の防御手段にすぎないのだ。そして、そのドローンは1機数百ドルしかせず、いまでは百万機単位で戦場に投入されている。散弾銃のおかげで兵士の生存できる時間が延びたとしても、その時間はあまり長くはないかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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