コントロール不全の状態が生まれる背景
多くの人は、自分でも気づかないうちに何年もコントロール不全の状態で過ごしている。常に警戒していたり、急いでいたり、考えすぎたり、心を閉ざしていたりする。これは性格的な欠陥ではなく、身体が学習した生存するためのモードだ。
感情のコントロールを難しくする要因をいくつか挙げよう。
1. 幼少期の条件付け
感情のコントロールは幼少期から始まる。泣くと批判され、怒ると罰せられ、愛情は条件付きと感じられるような、感情を出すのが安全でない環境で育った場合、感情を表現したり理解したりする代わりに、感情を抑制することを学んだ可能性が高い。
大人になって仕事をしているときに、このようなパターンが八方美人、完璧主義、フィードバックへの過剰反応として現れる。あなたは過剰に反応しているのではなく、神経系が子どもの頃に学んだ方法であなたを守ろうとしているのだ。
2. トラウマと慢性的なストレス
精神科医ベッセル・ヴァン・デア・コークが著書『The Body Keeps the Score(身体はトラウマを記憶する──脳・心・体のつながりと回復のための手法)』の中で説明しているように、トラウマとは単にあなたに起こったことではなく、あなたの体に残っているものだ。
トラウマは虐待や事故のような大きな出来事からだけもたらされるものではない。前述の幼少期の微妙な条件付けでさえ、大人になってからの感情反応をかたち作る痕跡を残すことがある。
体験が十分に処理されないと、過敏になったり無感覚になったりする。職場でちょっとした対立が起こっただけでも安全が脅かされたように感じたり、業績考査の前に体が緊張したりするのはそのためだ。
3. ADHDと感情の衝動性
注意欠如・多動症(ADHD)の脳は感情をコントロールするのに苦労するため、ADHDの人は感情がすぐに昂り、圧倒されるように感じることがある。一瞬にして良い状態から悪い状態になり、反応に「ブレーキをかける」のは難しい。そのため、苛立ちが急速にエスカレートしたり、たった一度邪魔が入っただけで集中力が散漫になったり、一度の挫折でやる気が消えてしまったりする。
4. 燃え尽き症候群と現代の過負荷
トラウマやADHDがなくても、燃え尽き症候群や端末上の絶え間ない刺激、大きなプレッシャーがかかる職場環境は私たちの神経系をおかしくする。マルチタスクや休息不足、終わりのない通知によって、私たちは低レベルの「戦うか逃げるか」状態に置かれる。
多くの場合、ネガティブなパターンを変えたり避けたりするのは選択の問題だったり、新しいツールの情報収集をすることだったりする。だがADHDや複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの場合、問題は心理学的なものではなく、神経学的なものかもしれない。ベッセル・ヴァン・デア・コークが示唆したように、「それはあなたの脳の中にある」のであって、単に心の中にあるのではない。これはあなたが想像していることではない。正常だと感じられても、古い生存するためのパターンに根ざしている行動を変えるために非常に意図的になる必要がある。


