インフルエンザA型H3N2亜型の新たな変異株「K亜系統」が、日本を含む北半球全域で大流行している。同変異株は、日本、英国、カナダを含む多くの国々で優勢となっている。
実際、日本や英国では感染者が急増している。米疾病対策センター(CDC)によると、米国ではインフルエンザの流行は今のところ低い水準にあるものの、感染者は増加傾向にあり、A型H3N2亜型が主流となっている。それでは、インフルエンザA型H3N2亜型について知っておくべきことを解説しよう。
インフルエンザA型H3N2亜型の症状
インフルエンザA型H3N2亜型の一般的な症状は、すべてのインフルエンザウイルスと同様、発熱、咳、鼻水、倦怠感、筋肉痛、悪寒などが含まれる。ただし、H3N2亜型の感染は全年齢層で重症化する傾向があり、特に小児と高齢者は注意が必要だ。具体的には、H3N2亜型のインフルエンザに感染した患者は高熱を発症する確率が高く、呼吸困難や脱水症状などの合併症を引き起こし、入院が必要となることもある。前回H3N2亜型が主流となったのは、2016~17年だった。
新変異株のK亜系統とは
K亜系統は6月に欧州で初めて確認され、それ以降、北半球全域に拡大し続けている。K亜系統には7つの変異が見られる。
現在、米国ではインフルエンザA型H3N2亜型が症例の大部分を占めているが、K亜系統が症例の優勢化の原因であるかどうかは不明だ。これは、44日間に及んだ米国の政府閉鎖期間中、CDCがインフルエンザ症例を追跡しておらず、ここ数週間の傾向を評価することが困難なためだ。CDCが今後この種のデータを公表するかどうかについても分かっていない。
今年のインフルエンザワクチンはK亜系統に対して効果があるのか?
現在の2025~26年インフルエンザワクチンは3価ワクチンで、2種類のA型インフルエンザウイルス株(H1N1亜型とH3N2亜型)と1種類のB型インフルエンザウイルス株に対する予防効果がある。ワクチンはH3N2亜型に対する予防効果を持つが、ワクチンの調製が開始されたのはK亜系統が確認される前の2月の時点だったため、変異したK亜系統には対応していない。
だが、これはワクチンを接種しなくても良いという意味ではない。ワクチン接種の目的は感染を完全に回避することではなく、重症化や入院、死亡の確率を減らすことだ。ワクチンはH3N2亜型に対する予防効果を発揮するため、K亜系統に対する完全な一致ではないものの、ある程度の効果を期待することができる。英国のデータによると、入院の可能性について、K亜系統に対するワクチンの予防効果は子どもの場合で最大75%、成人の場合は最大40%に達した。
インフルエンザの流行期に身を守るには?
インフルエンザは通常12~2月にかけて流行のピークを迎えるが、健康を守るために実行できる対策がある。まず、インフルエンザの予防接種を受けることだ。CDCは、生後6カ月以上のすべての人にインフルエンザワクチンの接種を推奨している。また、ウイルスが容易に拡散する混雑した屋内空間を避けることも有効だ。混雑した屋内に入る必要がある場合は、ウイルスを吸い込む可能性を減らすため、N95やKN95など医療用マスクの着用を検討しよう。最後に、手をこまめに20秒間洗い、咳やくしゃみをする時に鼻と口を覆うことで、インフルエンザの感染拡大を大幅に抑えることができる。



