大きな建築用3Dプリンターで建物を「プリント」してしまう、3Dプリント工法による2階建ての住宅が完成した。建築確認、完了検査を経て販売まで達成した。2階建ての3Dプリント住宅は、これが日本初となる。
3Dプリント建築に特化した築(KIZUKI)は、宮城県栗原市に3Dプリント住宅を建設した。これまで日本でも3Dプリント建築は行われてきたが、2階建て以上の多層階建築は厳しい建築基準法への適合が難しく、実現していなかった。
通常の住宅建築では、基礎、構造体、仕上げを各専門業者が分担して行うが、これは鉄筋の配筋など一部を除き、基礎から仕上げまでの大部分の工程を現場に設置した3Dプリンターで一貫施工した。
コンクリートは、タイの建材メーカーSCGが開発した3Dプリント専用のモルタルを使用し、キッチンとインテリアは樹脂系3Dプリントで作られている。壁は、意匠デザイン、構造フレーム、設備スペースが一体化した三層構造を「ワンステップ」で成形した。工期は構造体だけなら数週間とのことだ。

今回の建設には、いくつもの最先端技術を誇る企業や研究機関が協力しているが、ひとつのモデルが確立すれば、同じ品質の構造を効率的に量産できるようになり、建築コストの削減が可能になるという。部材との関係で直線が基本だった従来の建築と違い、3Dプリントなら直線にこだわる必要がなくなる。曲面を取り入れた自由なデザインが可能になれば、施主の住宅設計に対する考え方も、街の景色も変わっていくだろう。



