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2025.11.28 16:00

ブランド価値を“高める力”に——NECが取り組むアクションにつながるデータ活用とは

「データを集めました、分析しました——でも、使われない」。データ活用に取り組む多くの企業が抱える課題だ。NECのBrand Equity Management(BEM)は、ブランドという目に見えない価値を見える化し、企業の戦略的資産として育む取り組みである。その基盤となるブランドデータの収集・分析・活用を担うのが、植村優哉だ。

ダイレクトマーケティング、ビジネスプロセスアウトソーシング、新規事業開発と経験を重ねてきた植村は、「集まったデータで何かを分析する」のではなく、「“意味のあるブランディング”につながるデータとは何か」という視点で社内を巻き込んだブランドデータ活用に取り組んでいる。


ブランドを「遠いもの」にしてしまう要因

「ブランドの大切さは誰もが感じているものの、ビジネスの場面ではそれを言語化しようとすると、一人ひとり認識が違っていて、“共通言語”として機能しない——そんな側面が、ブランドを難しいもの、自分から遠いものにしているのではないのでしょうか。

『空気』のように絶対必要だけれど『目に見えないもの』なので、放置したままだと薄くなって自分が苦しくなることを想像するのが難しいと思います」 

サービスセールスや事業開発における顧客、パートナー開拓を経験してきた植村は、ブランドの重要性を肌で感じてきた。

「相手が自分たちのブランドを知らないと商談すらできない、会ってもらえないというケースは珍しくありません。さらにアライアンスが必須となる新規事業では、『歴史ある大企業』ということだけでは難しく、『この会社とならほかの会社よりもこれができそう』という、その企業がもつブランドだからこその期待や信頼感を持たれているかが非常に重要です」

植村は2023年にコーポレートブランディング部におけるコーポレートWebサイトの分析・戦略担当として異動し、以来、「ブランドをデータでどう可視化するか」というテーマに取り組んできた。

「未来のNECブランド」はどこから来るのか

植村の役割は、BEMが提唱するBrand Mass Indexを構成するデータの収集設計だけにとどまらない。社会におけるNECブランドの立ち位置を可視化するため、SNSやWebデータ、生成AIからのトラフィック分析にも取り組む。

「BMIは事業における市場のブランド価値を明らかにするもの。加えて今私たちが進めているのは、その前段階——社会におけるNECブランドや将来のブランドに影響する予兆を捉えることです。 

BMIの元にもなっている定期的なブランドサーベイは、蓄積することで価値を持つストック型データだと捉えています。その目的は企業ブランドが『誰にとって』『どう変化』しているか? を確かめるものです。一方で、SNSやWeb、生成AIからの流入データは日々の変化を捉えるためのフロー型データとして『いつの』『何が』変化に関係しているか? を理解するために分析しています」

SNSによるソーシャルリスニングで、「生成AI」や「サイバーセキュリティ」といったキーワードが、NECや他社でどう語られているかを分析。エンゲージメントと推定リーチなどを軸に競合と比較し、ポジティブ・ネガティブの変化も追跡してブランドリスク管理につなげる。

「NECに対して知ってもらうだけではなく、共感が生まれてはじめて将来のビジネスパートナーになりうると考えています。そのためにいくつかの重点テーマを設定し、投稿数やエンゲージメント数とリーチの状況をベンチマーク企業と比較して分析しています。そのテーマの中で投稿数やリーチだけではなくエンゲージメント(=共感)を集めている『オピニオンリーダー』になれているかを可視化し、ブランド戦略に活用しているんです」

「中でもソーシャルリスニングで特に注目しているのが、未来のNECブランドの入り口——ブランドのエントリーポイントとなりうるテーマは何か、という点です。ソーシャルリスニングで、その探索も進めています」

さらに注目するのが生成AIからの流入だ。 

「2025年10月にサム・アルトマンから『ChatGPTの週次ユーザ数は世界で8億人以上に上っている』という発表がありましたが、近い将来、生成AIがブランドのスポークスマンになり、そこでの語られ方がそのままブランドイメージになっていく世界が来るでしょう。私たちは生成AI経由でWebサイトにどれだけ流入しているか、という基本的なトラフィック変化の分析に加え、どのようなプロンプトによってどういうコンテンツが参照されているか、生成AI上で、NECは『何をやっている会社』と捉えられているかを見ています。

ブランドは、リアルワールドの人間の意識の中に存在するものです。しかしすぐ先の未来では、対話型AIがいるデジタルワールドの中でも、『NECはこういうブランドだ』と認識してもらうことが、重要なテーマになるのです」

グループ社員への浸透と「自分事化」の仕掛け

しかし、データを集め分析しても、社内で使われなければ意味がない。植村が最も重視するのは「使うための仕掛け」だ。 

「ブランドから見える強みや弱み、社会の変化の予兆を、実際の事業とどう連携させるか——分析だけでなくそこにも注力しています」

社内の他部署のデータとつなげ、ディスカッションを重ね、次のアクションに使える形で提供する。マーケティングや事業開発を経験したからこそ、「このデータは実務で使えるかどうか」という視点を重視する。

「何がわかれば目的を達成するアクションとして動けるのか——そのイメージをもつことが重要です」

NECブランドのデータを使ってもらうには、まずブランドエクイティという概念を社内に浸透させる必要がある。BEMが2025年に実施したのが、グループ社員約4万人対象のeラーニングだ。「ブランドエクイティ」というグループ社員にとってはまだ馴染みのないテーマではあったが、実データを見せながら研修を行うことで社員の意識変化が確認できている(下図参照)。研修後には事業部門から「データやNECブランドを自部門の課題に活用することはできないか」という相談も増えているという。

社内のイントラサイトにはBEMのページを開設し、ただデータや調査レポートを掲載するだけでなく、調査から見えるトピックスをコラム形式で発信したり、AIを活用してラジオ番組風にして配信したりと工夫を重ねる。

「データや調査レポートと言われると『難しそう』『読むのに時間がかかりそう』と思う人もいるでしょう。でも、伝えるストーリーやAIなどのテクノロジーを使ってインターフェースを工夫することで、障壁は下げることができています」

前述したBMIでは、認知度という単一指標ではなく、8つの要素で総合的にブランドの現在地をスコア化する。加えて植村らが重視するのは、そのデータが、社員の行動にどうつながるかという点だ。BMIでは、社員一人ひとりがNECブランドのどの部分を担って企業価値に貢献しているかというイメージを持てるようにしている。植村の活動の価値は、データを「使える形」で提供し、社内対話を生み出すことで、ブランドを「自分とは遠い専門的なもの」からグループ社員の中における「共通言語」へと変えることにある。

「自分もそうですが、データで客観的なことを示すだけでは人は動きません。データを見れば『こういうものを提案できるかもしれない』『今まで悩んでいた時間が短くなるかも』という利便性を感じることも重要ですし、『お客様の課題をより良い方法で解決したい』『社会はこうすればよりよくなるんじゃないか』といった主観的な想いとデータが重なってはじめて、アクションにつながるのだと思います」 

だからこそいろんな人を巻き込み、それぞれに合わせた伝え方をする。データ分析以外の取り組みも手を抜かない。それが「使われるデータ」への道だ。 

「データの価値は使われるかどうかで決まると考えています」

「違い」こそが利潤を生む——未来への投資としてのブランド

 植村が語るブランドの本質は、「違いを認識してもらうこと」だ。

「その違いが好ましいものであればあるほど、選ばれる理由になる。違いこそが利潤を生む——これは経済学者の岩井克人さんもおっしゃっていた言葉ですが、市場における自分たちのブランドが持つべき違いとは何かを私も常に考えさせられています。

同時に、違いとは時間の経過とともになくなっていくものでもありますから、絶えず自分たちの持つ違いをとらえ、新しい違いを生み出しつづけるメカニズムを創っていかなければなりません」

NECのBEMが追求するのは、短期的な成果だけではない。将来的な価値、あるべき姿に対してどう投資するか、無形の資産をどう増やしていくか——それこそが、企業ブランドだからできることだと植村は言う。

最後に、同じような課題を抱える企業へのアドバイスを尋ねると、植村はこう答えた。

「まずはいろんな情報を組み合わせて、自分の目と頭で確かめることではないでしょうか。もし『ブランド力がない』と感じるなら、何をもとに自分がそう感じているのかを確かめるべきだと思います」

ブランドという無形の資産は放置したままでは価値を失う。だからこそ現在地を把握し、適切に管理し、投資する——BEMの取り組みは、こうした考え方をNEC社外にも広げようとしている。

植村は「一緒に困りましょう」という。

「BEMが発足してから他業界を含めた企業、公共機関や団体など、同じ課題感を持つさまざまな方と対話をさせていただいています。企業を取り巻いている課題は、今や一社だけでは解決できないことばかりです。課題を共有し、掘り下げ、アクションにつなげる——その対話こそが『使われるデータ』『使われるブランド』への第一歩ではないでしょうか」

未来のニーズをとらえ、ニーズに応える「違い」を生み出す。そのために社会の声を聞き、データを使い、対話を重ねる。NECのブランドエクイティマネジメントが示すのは、データとブランド、そして人をつなぐ新たな企業経営の形だろう。

日本電気株式会社
https://jpn.nec.com/

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うえむら・ゆうや◎NEC 経営企画・サステナビリティ推進部門 ブランドエクイティマネジメント室 室長。広告代理店、大手機械メーカーなどでダイレクトマーケティング、BPOサービス、新規事業開発に携わる。2022年NEC入社。現在はブランドエクイティマネジメント室マネージャーとしてブランドデータの収集~分析~活用の全体設計や仕組み化を推進。SNS、Webなどのデータも使い将来的な企業ブランドのエントリーポイント創出にも挑む。

Promoted by NEC | text & edited by Miki Chigira(HAGAZUSSA) | photographs by Tomohisa Kinoshita