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2025.11.28 07:15

テムザックが再生二期作で挑む農業の省力化、軽トラで運べる稲収穫ロボ

プレスリリースより

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中山間部の比較的小規模な稲作をロボット技術で省力化する「WORKROID農業」を推進し、これまで数々のロボット農機を生み出してきたテムザックが、今注目の、1年に2回お米が収穫できる再生二期作に対応したロボットを発表した。軽トラックで運搬でき、農業経験の浅い人にも簡単に操作できる収穫ロボット「RMD-0」だ。

再生二期作とは、春に田植えをして成長した稲の穂の部分だけを刈り取り、1カ月半ほどして同じ株から育ち穂を付けた稲をもう一度刈り取るという農法。温暖化によって稲が栽培できる期間が延びたこともあり、多くの農家が実験的に導入を始めている。

通常、二期作は田植えを2回行う方式を指すが、再生二期作は収穫時に苗を残し、そこから生える「ひこばえ」に再び米を実らせるため、2回目は1カ月半ほどの短期間で収穫できる。収量は1回目よりも減るが、それでも増産が期待できる。だが課題も多い。そのひとつが、通常の農機では対応が難しい点だ。そこでテムザックはRMD-0を開発した。

再生二期作では、2回目の収量を高めるために、1回目の収穫では地面から50センチメートルほどのところを刈る「高刈り」を行う必要があるが、通常のコンバインは根本から刈る仕様なので適さない。RMD-0は高刈りに対応し、さらに刈り取った穂をその場で脱穀する「立毛脱穀」も行う。

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ロボットなので人が乗る必要がなく、開始指示だけすればあとは自動的に働いてくれる。また、圃場の上に対角線状に張ったワイヤーを使って移動する多用途ロボット「MU-0」がRMD-0の誘導や監視を行う。MU-0にはロボットの監視のほか、害獣の追い払いや圃場のモニタリングなど、さまざまな機能を追加できる。ワイヤーによる浮遊式移動システムのため、ドローンでは困難な作業にも対応できるのが特徴だ。

さらに、AIを活用して最大で4つの圃場の監視や、ロボットの遠隔管制ができるシステムの開発も進めている。農業の未経験者も対象に、ロボットを活用した中山間地での稲作を支援する「農作業マッチングシステム」の検証も予定しているとのことだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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