競合他社が周到に準備を進める中、テスラは販売に必要な適用除外を申請せず
テスラと同じくロボタクシーを目指す競合他社は、この遅れを前提に事業計画を立ててきた。アマゾン傘下のZoox(ズークス)は、標準的な運転装置を持たない専用ロボタクシーを公道でテストするため、NHTSAから適用除外(エグゼンプション)を取得している。2026年から有料サービスを始めるためにFMVSSの商用向け適用除外も申請中だ。そのため、サンフランシスコとラスベガスで始めた試験運行では無償でサービスを提供中だ。
一方、ウェイモはこうした適用除外を必要としない。同社は既存車を改造した車両でロボタクシーを運行しており、専用設計の車両に切り替える計画も当面ないためだ。
マスクの計画には適用除外が必要だが、テスラはまだ許可申請を行っていない。そこが問題だ。
NHTSAはフォーブスに対し、「テスラはサイバーキャブについていかなる適用除外も申請していない」と回答し、「法令上の例外(FAST法による試験運用など)を除けば、基準に適合しない車両を公道で走らせたい企業は、運用開始前にNHTSAへ適用除外を申請し、承認を得なければならない」と語った。
マスクもテスラも、コメント要請に応じていない。
テスラの取締役会議長とマスク、食い違う発言
マスクがサイバーキャブ計画を大々的に語る1週間前、テスラの取締役会議長ロビン・デンホルムは、株主にマスクの巨額報酬パッケージへの賛成を呼びかける中で、サイバーキャブの設計や導入に対する懸念を小さく見せようとする姿勢を示した。彼女の発言には、規制面の課題だけでなく、テスラの自動運転技術の安全性に対する指摘を念頭に置いたニュアンスもあった。
「必要であればハンドルもペダルも付けられる」と彼女は10月28日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。だが、11月6日のマスクの発言はまったく異なる内容で、2024年10月にマスク自身が語った「2万5000ドル(約393万円)のEV、いわゆる“モデル2”としてサイバーキャブを売ることはない」との主張とも食い違う。
「われわれはロボタクシーではないモデルを作っていない」とマスクは言い切った。「未来は自動運転だという点を、われわれは非常に明確にしてきたと思う」と彼は述べていた。
基準不適合の車を承認なしに販売すれば、強制調査や販売停止の処分に
米国法では、自動車メーカーが自らFMVSSへの適合を宣誓する仕組みになっており、新型車を量産する際にNHTSAの事前承認を得る必要はない。しかし、連邦ガイドラインの改定前、たとえば自動運転車向けの新基準が施行される前に、基準に適合しない車を販売しようとすれば、「大きなリスクを負うことになる」とNHTSAの元幹部はフォーブスに語った。
「NHTSAが“後から動く”のは、メーカーが自己認証する制度だからだ。車が公道を走るか販売された瞬間、NHTSAは必要な措置を何でも取れる。その段階になれば、間違いなく何か問題が起きる」と、匿名を条件に元幹部は述べた。
その場合、NHTSAは調査を開始し、自動車メーカーに広範な設計データの提出を求めることになるという。欠陥の可能性があると判断すれば、修正を命じることもできるし、走行や販売を差し止めることもできる。メーカーに罰金が科される可能性もある。


