テキストのプロンプトから楽曲を生成するAIプラットフォームのSunoは米国時間11月19日、2億5000万ドル(約393億円。1ドル=157円換算)を調達し、評価額が24億5000万ドル(約3847億円)に達したと発表した。Sunoで生成された楽曲がチャート入りする事例が増える一方、主要レコード会社が同社を著作権侵害で訴えるなど、音楽業界を揺るがしている。
Sunoは声明で、今回の2億5000万ドル(約393億円)の調達はMenlo Venturesが主導し、エヌビディアのベンチャー部門であるNVentures、そしてAI音楽への投資を増やす音楽マネジメント会社のHallwood Mediaなどが参加したと述べた。
Sunoは、今回の資金でユーザー向けツールの開発をさらに進めるとし、2023年のサービス開始以来、約1億人が同プラットフォームで音楽を制作したとしている。
同社は、自社の技術が音楽制作をより身近にするものであり、これが「音楽の未来」だと主張する。しかし同時に、このプラットフォームは主要レコード会社の反発を招いており、その一部は著作権保護された楽曲を学習に使用したとして訴訟を起こしている。
Sunoは19日、同社の技術で生成された音楽が「業界で最も重要なチャートに認められている」と述べた。これは、おそらくSunoで生成された「AI歌手」のザニア・モネを指しており、同アーティストはビルボードのR&Bやラジオ関連チャートに複数ランク入りしている。
Sunoとは何か
Sunoは、ユーザーがテキストプロンプトを入力し、望む音の雰囲気や歌詞内容を指定することで楽曲を生成できるツールである。Sunoのウェブサイトに掲載されているサンプルでは、ユーザーが「また会えるのを待ちきれないという内容のファンキーなオペラ曲」を作るよう指示している。Sunoは指定された楽曲のバージョンを2種類生成し、ユーザーはそれらを評価することで結果を調整できる。
Sunoは、音声の切り取りや延長、音質を調整するリマスターツール、複数の楽曲で似た声を使える「ペルソナ機能」など追加的なツールも備えている。Sunoは19日の声明で、「トッププロデューサーやソングライターが日々の制作工程にSunoを取り入れている」と述べた。
音楽プロデューサーのティンバランドは、2024年10月にSunoと提携して以来、同プラットフォームを積極的に支持しており、自身の楽曲のリミックスにも使用している。ティンバランドは3月、ローリング・ストーン誌の取材に対し、「神がこのツールを授けてくれた」と語り、3カ月で「1000曲のビートを作った」と述べている。



