ベゾスの投資会社などから約166億円調達、評価額は約1570億円に迫る
そのために、Profluentは水曜日、ジェフ・ベゾスの投資会社ベゾス・エクスペディションズ(Bezos Expeditions)とアルティメーター・キャピタル(Altimeter Capital)が主導する新たなベンチャー資金として1億600万ドル(約166億円)を調達し、累計調達額が1億5000万ドル(約236億円)に達したと発表した。今回の資金調達により、Profluentの評価額は10億ドル(約1570億円)に迫っている。同社の事業パートナーには、時価総額110億ドル(約1.7兆円)のバイオテック企業Revvity(レヴィティ)、デュポンから分社した農業企業Corteva Agrisciences(コルテバ・アグリサイエンス)、遺伝性疾患やがんの治療に取り組むVC支援のEnsoma(エンソマ)が含まれる。
Recursion(リカージョン)のような企業は、何年も前からAIを創薬に持ち込もうとしてきたが、その取り組みは研究者が当初期待したほど容易ではないことが分かってきた。とはいえ、新薬の90%が失敗し、新薬開発コストが数十億ドル(数千億円)規模に達するなか、AIを用いたタンパク質設計でこの課題に挑む企業は増えている。Profluentは、グーグルのAI研究所DeepMind(ディープマインド)の分社であるIsomorphic Labs(アイソモーフィック・ラボ)や、昨年ステルスから姿を現し10億ドル(約1570億円)の資金を得たXaira Therapeutics(ザイラ・セラピューティクス)といった強豪と競い合っている。
世界最大級のタンパク質データを基盤に構築、生物学にも適用されるスケーリング則の威力
Profluentの目標は、従来の創薬で一般的なAIで既存のタンパク質を見つけることだけではなく、患者のニーズに合わせて完全に新しいタンパク質をオーダーメイドで設計することにある。
これまでに、Profluentは「Protein Atlas」(プロテイン・アトラス)と呼ぶデータベースを構築したが、これは1150億のユニークなタンパク質で構成されている。同社によれば、これは世界最大のタンパク質データリソースだ。こうした膨大なデータに計算資源の増強が加わることで、より大規模で高性能なモデルを構築できる──この考え方は「スケーリング則」として知られる。今年初め、Profluentはタンパク質を設計するモデルにスケーリング則が有効であることを実証したと述べた。また先週には、進化の過程に関する情報を提供する新しい基盤モデル「Profluent E-1」を発表した。
「ジェフ(ベゾス)が関心を持った理由の1つは、スケーリング則が生物学にも当てはまることを私たちが発見したからです」とマダニは語った。「データが増えれば増えるほど、モデルはどんどん良くなります。」。
生物を真にプログラム可能にできる機械
投資家のジャミン・ボールは、アルティメーター・キャピタルのパートナーで、約18カ月前にマダニと初めて会い、昨年サンディエゴのバイオカンファレンス周辺を散歩しながら彼と知り合った。ボールは、偶然に頼っていた創薬から特注設計へと科学者が移行できる可能性には「途方もなく巨大な、巨大な、巨大な機会」があると話す。「AIの次のフロンティアは生物学と創薬になると私たちは考えています」と彼は語った。
「私たちはまだ本当に初期段階にいます」とマダニは、AIを活用した生物学の現状をインターネット草創期になぞらえて語った。「もし生物を真にプログラム可能にできる機械を持てれば、画期的なソリューションを次々と生み出せるでしょう」。


