北米

2025.11.20 12:30

トランプ、パウエルFRB議長を「クビにしたい」と発言

Drew Angerer/Getty Images

Drew Angerer/Getty Images

ドナルド・トランプ大統領は米国時間11月19日、連邦準備制度理事会(FRB)への批判をさらに強め、金利を迅速に引き下げなかったとして第2期を通じて非難してきたジェローム・パウエルを、解任したいと述べた。

「正直に言うと、彼をクビにしたい」とトランプは語った。パウエルのFRB議長としての任期は2026年5月に満了する。

サウジアラビアが支援する投資フォーラムでこう発言したトランプは、スコット・ベッセント財務長官にパウエルの後任を探すよう求め、「スコット、何とかしないといけない。スコットの唯一の失敗はFRBだ」と付け加えた。

トランプは金利が「高すぎる」と述べ、ベッセントを理性的な人物と評価した上で、「もし早急に問題を解決できなければ、君をクビにする」と警告した。

加えてトランプは、「私はFRBの仕事が大好だ」と述べ、「世界で一番簡単な仕事だと思っている。28日か29日はゴルフをして、そして演説するだけだ」と付け加えた。

トランプは18日、記者団に対し、パウエルの後任をすでに決めたと発言し、できることならすぐにでも議長を交代させたいが、「周囲に止められている」と述べた。ベッセントは7月、パウエルの後任探しの「正式なプロセス」が開始されたと述べており、10月には候補者リストが5人に絞られたと発言した。現在の候補は、FRB理事のクリストファー・ウォラー、同じく理事のミシェル・ボウマン、国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長、元FRB理事のケビン・ウォルシュ、そしてブラックロック幹部のリック・リーダーである。

トランプとパウエルは数カ月にわたり対立しているが、トランプは以前、FRB議長の職からパウエルを解任するつもりはないとしていた。トランプは2017年にパウエルを議長に任命したが、2018年にはパウエル解任を検討したと報じられた。しかしその後、トランプは「解任を示唆したことはない」と述べ、また「自分に解任する権利があるとは思わない」とも語った。

FRBは今年これまでに合計で50ベーシスポイントの金利引き下げを実施し、政策金利の目標レンジを3.75%から4%の範囲に設定しているにもかかわらず、トランプは金利の引き下げが「遅すぎる」とパウエルを批判している。

ウォール街では、FRBが今年最後の会合となる12月会合で金利を再び引き下げる可能性は低いと見られており、CMEのFedWatchツールによれば、25ベーシスポイントの利下げが行われる可能性は35%とされている。10月にはこの確率は90%まで高まっていたが、その後、パウエルを含むより多くのFRB関係者が利下げに慎重な姿勢を示しており、利下げの予測は後退した。ただし、今年トランプに任命されたスティーブン・ミラン理事は、より大幅な利下げを求めている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事