2025.11.21 11:30

アジアの次なる波、脱定番サファリ──「2026年ラグジュアリー観光」を形づくる旅行トレンド

鎌倉の大仏(Shutterstock.com)

鎌倉の大仏(Shutterstock.com)

地政学的な不確実性が続く中でも、ラグジュアリー旅行業界は堅調だ。2026年には、文化的な奥深さや有意義な体験を重視する旅行需要が業界を牽引しそうである。オーバーツーリズムを回避できる新たな旅先や、人気観光地を巡る新しい旅行手段への関心も高い。今後1年間を形づくる主な旅行トレンドを見ていこう。

アジアには次なる波がやってくる

アジアは依然として最も需要の高い地域の1つである。米ドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』シーズン3のロケ地となったタイの観光ブームも、まだしばらくは収まらないだろう。しかし、注目は定番の観光地から移りつつある。日本とタイの圧倒的人気は揺らがないものの、経験豊富な旅行者、特にオーバーツーリズムを気にするベビーブーム世代は、次なる旅先を他の国々に求めている。

強力な候補として台頭しているのが中国だ。ビザ政策の緩和(特に米国など55カ国・地域からの渡航者を対象にした240時間トランジットビザ免除)と高級ショッピング旅行人気の高まりがこれを後押ししている。

台湾は、海沿いで味わえる寿司から寺院文化まで日本とよく似た体験を楽しめるが、人混みははるかに少なく、価格もずっと安い。

日本国内でも、京都などおなじみの観光地を避け、鎌倉のような海外で知名度の低い旅行先へと足を向ける訪日客が増えている。

注目すべきはフィリピンだ。2026年にはミシュランガイドが、東南アジアでの対象地域拡大の一環としてフィリピン版を創刊する。

米国:サッカー人気とカウボーイ文化

米国では引き続き大型イベントが高級インバウンド旅行を大きく牽引するだろう。米国・カナダ・メキシコの共催で開かれる2026年FIFAワールドカップの影響は、すでに旅程の立て方に影響を及ぼしている。来年は独立250周年でもあり、歴史をめぐる旅の需要も増えそうだ。

19世紀の街並みが残る米ボストン・ビーコンヒルのエイコーン通り。植民地時代の合衆国旗が掲げられている(Shutterstock.com)
19世紀の街並みが残る米ボストン・ビーコンヒルのエイコーン通り。植民地時代の合衆国旗が掲げられている(Shutterstock.com)

世界的な高級リゾートブランドのワン&オンリーが、モンタナ州のムーンライトベイスンに新規開業した山岳リゾート、ワン&オンリー・ムーンライトベイスンは米西部への関心を高め、西部開拓時代の要素を取り入れた「カウボーイ・コア」旅行人気をいっそう盛り上げるだろう。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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