北米

2025.11.20 08:30

米国の中小企業の大半が値上げを計画 インフレと関税の影響で

Getty Images

米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)は18日、中小企業経営者のほぼ3分の2が、インフレを理由に来年価格を引き上げる計画だと回答したとの調査結果を報告した。他方で、多くの経営者は増収を見込んでおり、今後1年間で事業拡大を計画しているようだ。

BofAが1000社を超える米国の中小企業を対象に実施した調査によると、経営者の88%が、インフレが事業に影響を与えていると回答。64%が来年の値上げを計画し、39%が支出を抑制する方針を示した。

また、中小企業経営者の75%はサプライチェーン(供給網)の逼迫(ひっぱく)に直面していることが判明した。供給網の問題の影響を受けた企業のうち、32%が製品やサービスの調達が困難だと報告し、52%が価格を引き上げていた。

他方で、中小企業経営者の74%は増収を見込んでおり、約60%が事業拡大を計画していることも浮き彫りになった。本調査は、年間収益が10万~5000万ドル(約1600万~78億円)の米国の事業主を対象とした。

米商工会議所の推計によると、中小企業は年間で2020億ドル(約32兆円)の関税負担を強いられるとみられている。これは7月31日に発表された関税を、当該企業が輸入している商品の価値に適用した結果に基づいている。

最も一般的なインフレ指標である消費者物価指数(CPI)は、9月までの1年間で3%上昇した。これにより、物価が下落しなかった月は5カ月連続となり、上昇率が3%以上となったのは1月以来初めてとなった。インフレは、関税に次いで企業経営者にとって2番目に差し迫った懸念事項となっている。企業が利益率維持のために調整する際に、輸入費用の上昇を消費者物価に直接反映させることが多いことから、関税とインフレは密接に関連している。

BofAの報告書によると、米国のドナルド・トランプ政権の保護貿易主義政策が事業主にとって最も重大な経済的圧力となっており、53%は関税規則が安定すれば国内の経済状況は改善すると回答していた。こうした不満が募る中、トランプ政権は、バナナ、コーヒー、牛肉を含む200以上の食品関連の関税を引き下げた。

だが、より広範な関税制度から生じる財政的な影響は依然として大きい。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のアナリストらは、今年の米企業の追加費用が1兆2000億ドル(約188兆円)を超える可能性があると推定している。消費者は価格上昇を通じてその負担の大部分を背負うことになる。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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